コンテンツの質はどこまでコントロールすべきか

栗原:実際にメディアを運営してみると、熱量は十分あるのにどうしてもコンテンツを書けない、クオリティが上がらないと悩む担当者も出てくると思います。田中さんはどう対応していますか。
田中:商材によりけりという部分はありますよね。整っていない文章でも伝わるものがあり、エンゲージメントが高まるという可能性もゼロではない。
ただ、BtoB領域では比較的かっちりとした文章を書かなければいけないケースが多いので、そのような場合は熱量がある人にインタビューして、ライターがコンテンツ化するという方法をとっていますね。
枌谷:クオリティのコントロールがどれほど重要かというのは、オウンドメディアの性質によって異なるのではないかなと。先ほどお話したクラスメソッドさんの場合は、質をコントロールしすぎて量やスピードを落とさないように配慮されているように思います。
一方で、私が書いている社長ブログは、コンテンツの質に徹底的にこだわっています。そのために最近はどんどん更新頻度が落ちてきて、半年に1回ぐらいしか更新していないのですが(笑)、自然検索の流入は落ちておらず、定番のコンテンツは読まれ続けています。
どちらの方が良いというより、何を目的にメディアを運営するかによるのではないかでしょうか。
流入はあっても売り上げにつながらない、何から見直す?
MZ:さらに「コンテンツ経由の流入は稼げるようになったのですが、売り上げにつながらず、上司のコンテンツマーケティングへの評価が上がりません」という相談もきています。
栗原:売り上げにつながっていないメディアでよく見られるのは、導線に問題のあるケースです。ホワイトペーパーのダウンロードや資料請求、問い合わせにつながる導線を設計しておかないと、訪問者は読んで終わりになってしまい、PVがあっても売り上げになかなかつながらない。
もう一つ、コンバージョンにつながる検索のワードは非常にはっきりしています。弊社の場合「マーケティングコンサルティング会社」や「マーケティングコンサルティング会社 評判」といったワードはコンバージョンにつながりやすいのですが、「BtoBマーケティング」で検索されても、あまり効果がない。コンバージョンにつながりやすいコンテンツを意識して作ることは大切です。
田中:マーケティングテクノロジーツールは最大限活用するべきです。MAツールは必要なフェーズであれば入れたほうがいいし、予算に余裕がある場合は、最近トレンドになっているアトリビューション分析ツールもあります。
アトリビューション分析ツールは、コンバージョンにどれだけ寄与したのかをコンテンツ単位でスコアリングしてくれるもので、導線設計の参考にできます。
枌谷:BtoBのコンテンツマーケティングが目指すべきは、売り上げへの直結というよりも、お問い合わせ数や資料請求数といったKPIだと思いますが、KPIを目指すのなら、KPIに繋がる可能性が高いコンテンツを作るのが正攻法です。
当社もSEOには力を入れていて、「Web制作会社」と検索するとなるべく上のほうに出るようにしているのですが、競合との競争が激しくなっていて、たまに1ページ目に入らない時も出てきています。そこで今、「正しいWeb制作会社の選び方」というコンテンツを仕込んでいます。このように、ちょうどWeb制作会社を探している人が見るであろうコンテンツをしっかり出していく、という方法があると思います。
それと、売り上げに繋がらないというのは、コンテンツと成果の関係が見えてないだけで、本当は繋がっているという可能性もあると思います。コンテンツと成果の関係性は、アトリビューション分析ツールやMAツール、Google Analyticsのコンバージョン分析で確認できます。
当社のブログも、単純な流入別のコンバージョンだとあまり貢献していないように見えても、複数の訪問をまたいだアトリビューション分析で見ると、コンバージョンの1~2割は、最初の訪問がブログ、という結果が出ています。成果が出ていないように見えるときは、まずデータの見方を見直してみるという考えもありますね。
