営業社員が相関マトリクスを作成 現場に浸透するPDCA
毛利氏が全社へのデータ活用浸透に本格的に着手してから3年。目に見える成果が少しずつ現れ始めている。毛利氏は昨年度一番嬉しかったことの一つとして、あるエリアを担当する営業パーソンが作成したクライアント向けの新商品の企画報告書を見せてくれた。そこには販売実績や価格、天気などを変数とした相関マトリクスが載せられていた。
「この分析を見たお客様は『そうだよね』と納得してくださるでしょうし、『そこまで考えてくれているんだ』と信頼にもつながります。社員がほぼ独力でこれをやったというのが、とても嬉しかったです」(毛利氏)
現場の社員がデータに向き合いPDCAを回せるようになることで、直接的な取り引きにつながるだけでなく、顧客が何を求めているか、どうすれば買ってもらえるようになるのかをより深く理解することにもつながる。一人ひとりがこうしたスキルを獲得することで、組織は強くなるだろう。
現場に自走してもらうことで、より高度な分析に着手する

毛利氏が現在取り組みの目標としているのが、「自走する現場作り」だ。実はマーケティングマネジメント室の人員は、毛利氏を含めて2名。社員たちにスキルセットを提供し、データ活用を現場に浸透させていくことで、より高度なデータ分析に着手する時間を作っていきたいと語る。
「ID-POSなど様々なデータがとれるようになってきているため、需要予測やテレビCMの効果測定といったアドホックな分析を一層進めていきたいですね。
それから、サンプル数の限界を解消していくことも必要です。一般的に調味料の購入頻度は年に数回という場合が多い。パネル調査ではディープに追えるデータが少ないという課題があります。店舗をもたないというハンデがありますが、よりお客様に近いデータを収集・分析できるような取り組みを行いたいです。もちろん、データ活用のための社内への講習にも、引き続き力を入れていきます」(毛利氏)