OMO時代には「来店していないときの顧客接点」が重要に
齋藤:オンラインとオフラインの区別がどんどんなくなっていて、店舗のみ利用する人、Webのみの人、店舗とWeb両方を利用する人と利用の仕方も広がっていると思うのですが、そのような状況下でどのように顧客接点を最適化してコミュニケーションを取られているのでしょうか。
藤原:大事なのは、お客様がサイトや店舗に来ていないときにどれだけ接点を持てるかを考えることだと思います。当たり前のことではありますが、ユーザーの生活を考えると、サイトや店舗を訪問していない時間が大半です。そこで、その時間にどう自分たちの情報に触れてもらうきっかけを作るかを重視しています。
具体的な施策で例を挙げると、カタログは、ご自宅に置いてふと思い返したときに読んでいただくことに意味がありますし、CMも普段意識していないときに目にしてもらうことに意味があるんです。
齋藤:常に意識しておいてもらうために、CRMのポイントを色々なところに張っておくということですね。ちなみに、コミュニケーションツールやチャネルが変わってくる中でユーザーの変化を感じていることはありますか。
藤原:最近だと「DECAX(デキャックス)※」という購買行動フローの話をよくするのですが、今の消費者たちは購買行動のスタートがAttention(注意)ではなくDiscovery(発見)から始まっているのが変化のポイントだと考えています。
そうなったのは、すべての情報が「タイムライン化」されたからです。情報の「タイムライン化」はSNSの成長によって加速し、今はほとんどのメディアがタイムライン化され、パーソナライズされています。自分の見たい情報や、自分と関係のある人たちがいいねした情報が優先的に上がってくる中で、たまに自分が今まで見たことのない情報にも目をやるロジックになっていて、それに合わせて広告やコンテンツが変わっていますよね。
齋藤:売り手側の理屈でモノを売ろうとか、売り手側のタイミングで何かを発信しても何の意味もないということですね。伝える内容やタイミングが重要になってくる。
藤原:そうですね。また、内容やタイミングに加えてコミュニケーション手段別に情報を分けることも大事でしょう。これらの重視すべきポイントをおさえて「タイムライン化」したメディア環境にふさわしいコミュニケーションを取っていくためには、DECAXで考えることが有効だと考えています。
※DECAXとは購買行動フローのフレームワークで、お客様が自分でDiscovery(発見)し、その情報やコンテンツに触れる中でEngage(関係)が高まっていくと、自分に合ったものかどうかをCheck(確認)し、Action(購買)に移ったのち、Experience(体験共有)するという5つのプロセスで構成される。
「Web購入商品もリアル店舗で返品OK」施策が来店率に寄与
齋藤:DoCLASSEでは、リアル店舗での通販商品返品受付というまさにOMO的な取り組みをされていますが、お客様の反応はどうですか。
藤原:EC返品サービスは4月から始めまして、現在はちょうど数字を取っているところです。今までは、届いた箱の中に返品カードが入っていて、それを書いて送り返す方法だったのですが、返品前にどこに返金すれば良いかなどの確認で電話する作業が発生していました。
もっとWebでの返品を簡単にしようと考えたときに、店舗に持っていくのが楽なのではとの考えに至りスタートさせたところ、想像以上に店舗に持って来られる方が多かったので、そういう意味では来店率にも影響を及ぼしているのではと予想しています。今は店舗での返品は対象店舗に限って受け付けているのですが、全店での対応を準備中です。
齋藤:これからデータ分析などされると思いますが、リアル店舗に返品する場合って商品を返品したときに、新しい商品を買っていくようなアクションも起こりそうですよね。
藤原:店舗で交換の提案はしていますが、交換がてら他の商品を購入される場合もあります。店頭に持ってきてくれた人で、そのまま帰ってしまう人も一定数いらっしゃいますが、その人たちにはあとでメールを送れるようにしようと現在準備しています。