テレビCMによるLP訪問、来店への貢献を可視化
MZ:課題としていた、コンバージョンやエリアごとの分析をした際にも、十分な数が残るようになったのでしょうか?
関口:はい。都道府県別に分解しても、人口の少ない県でも数千人を維持できたので、正直驚きました。LP遷移などで見ても、十分です。
この新しい調査パネルの活用トライアルとして、私の担当しているdポイントのキャンペーンの分析を現在進めているところです。当社プライベートDMPと、この50万のデータを連携させることで、テレビCMを視聴後にどのような属性のユーザーがLPや関連サイトに来訪したかどうかがわかるだけでなく、dポイントの加盟店来店に注目し、とある県の30代男性の来店率は◯◯%、という細かい部分の傾向までわかるようになりました。
MZ:そうすると、テレビCMのKPIに来店コンバージョンを設定できるわけですね。関口さんが先ほどおっしゃっていた、デジタルとテレビの視聴データを統合した効果測定、ひいては広告予算の最適化に近づける、と。
関口:そうですね。第一歩ではありますが、今までの効果測定の精度は格段に向上し、さらにエリアも全国にしっかり広げられました。今回のキャンペーンでは「dポイントカードの登録」と「加盟店への送客」という2つのKPIを設定しており、特に送客(来店)を最終コンバージョンとしていたのですが、その点も数値化して確認できました。
各地域の営業担当者も扱えるシステムの確立へ
MZ:御社のように各地域でも個別にプロモーションをしている場合、全国展開のテレビCMの効果が地域単位で把握できると、各地のメディアプランニングにも活かせますね。
関口:まさに、そうですね。支社独自の施策でネット広告やチラシを展開しているので、テレビCMでの認知を踏まえたネット広告の頻度や内容の検討や、逆に認知が足りないならWebやダイレクトメールで補完するアクションを検討できるのは大きいです。
さらには、テレビCMに当たってコンバージョンした人の分析、また番組視聴の分析に基づくユーザー理解にも使うことができます。
中村:いずれは人単位の分析も可能になりますね。施策実施時のセグメント設計にも活かせると思います。
MZ:では、今後の展望をうかがえますか。
関口:段階的にはまず、全国の支店にいる営業メインのスタッフに今回の成果を伝えて、データの扱いに慣れていなくてもテレビCM放映の結果を手軽に使えるダッシュボードのような仕組みを作りたいですね。次に、この秋には事業環境も大きく変わりますので、競合他社のテレビCMによる態度変容などを含めた分析にも取り組みたいです。
理想は、個人的な展望も含みますが、前述のようにオンとオフを統合した効果測定方法・指標の確立と、それによる広告予算の最適化です。欧米では、インターネットに接続したテレビにCMをターゲティングして自動配信する「アドレッサブルTV」など人ベースのテレビCMソリューションの展開も進んでいるので、日本でもそういった考えが広がると、今回開発したパネルの利用価値がさらに高まると思っています。
中村:インテージからドコモさんへのマーケティング支援としては、携帯電話という長期の契約を前提としたロイヤルティ形成にテレビCMがどう効いているのかも可視化していけるといいですね。またインテージでは、この共同取り組みでの知見を活かして、スマートテレビ視聴ログにユーザー属性を推定して紐づけた「Media Gauge Dynamic Panel」というサービスをこの4月から提供開始しております。ドコモさんと同じような課題を抱えてらっしゃる他企業様のお役にも立っていきたいと思っています。