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私のキャリア

好奇心を育み「ポータブルスキル」を身につける

役職者としての立場と好奇心の間で揺れる日々

――なぜ、LINEを選ばれたのでしょうか。

 LINEの第一印象としては、シンプルなメッセンジャーアプリというイメージの裏に、多岐に亘るビジネスが存在し、いろんな可能性があるなと思いました。またグローバルな事業であり、優秀な開発チームが組織の中にあることも理想的でした。日々のコミュニケーションが「LINE」で行われ、どこからでもスピーディーに意思決定できるところも魅力です。良し悪しもあるかと思いますが、個人的にはいつでもどこでも仕事ができるという環境が好きなので(笑)。

――LINE入社後は、どのようなお仕事を担当されましたか。

 まずは、当時技術トレンドにあった「LINE Beacon」のプロジェクトに関わりました。その後、「LINE Messaging API」をリリースし、APIの公開を行いました。「LINE Messaging API」に関しては、初めての経験ばかりで思い入れがあります。リリース後はグローバルで様々な反響があったり、このAPIを使って新事業を立ち上げる企業の存在を知ったりと、ビジネスが広がり、変化していく流れのようなものを実感しました。また、プロダクトマネージャーとして、視野を広げることにもつながっています。企画を進めていくとき、リーガルの課題や海外とのオペレーション、ローカライズの難しさ、周辺ビジネスへの影響など、様々なことを考えなくてはならないと気づかされました。企画を考えるときは、自分の中である程度テンプレートがあるのですが、それをさらにスケールしてくれたプロジェクトでしたね。

――そして、2019年1月に29歳でLINE最年少執行役員に就任されました。

 正直、驚きました。これまでやってきたプロジェクトの成果に加えて、チームづくりなどマネジメントの観点も評価されたと聞いたときは素直に嬉しかったです。僕が担当するのは、LINE Messaging APIやLINE公式アカウントをはじめとした、ビジネス向けのプラットフォーム開発。企業とユーザーのコミュニケーションを、広告ではなくユーザーサービスと位置付け、その価値を高めていくためのプロジェクトに携わっています。

 ここまで大きな組織のリーダーは初めてなので、マネジメントは勉強中です。リクルートでの経験を糧に、任せることを常に意識するようにしていますが、自分でやりたいという好奇心との間でよく揺れています(笑)。自分でやって後悔、やらなくても後悔。正解はないですね。理想は、チームメンバー全員が前に出て、それぞれが活躍し、プロダクトが自走していく状態です。普段から思考がシンクロできていれば、指示は必要ありません。みんなで思考レベルを高め、素晴らしい世界を見られるよう、成長し合いたいと思っています。一方で、似たもの同士が集まるような環境を求めているわけではないので、予想外の提案やチャレンジが来たら、テンションが上がりますね。

LINE Messaging API
LINE Messaging API

キャリアアップではなく、できることを増やす

――仕事では、どのようなことを大切にしていますか。

 常におもしろいことに関わっていくために、次の好奇心を探すことです。知りたいという欲求が強いので、現場に任せながらも、担当しているプロジェクトで新たに学べるところはないか、いつも探しています。たとえば、決済機能の導入一つとってもAppleとGoogleでは仕様が全然違うので、その設計の裏にある思想はなんなんだろうと調べてみる、みたいなことです。このような知識は仮に担当プロダクトが変わっても使えるものですよね。一つの事柄から、自分が経験していないことや、興味のあることを見つけ、調べ、自分の知識や知見を蓄えていくということを、意識しています。好奇心を探して、育むことがおもしろいんです。だから、キャリアアップという概念がなく、ただできることを増やそうという感覚です。このとき意識していることは、第三者的な視点。所属する組織の中だけで通用するスキルではなく、一般化できるスキルだろうかと考えることです。リクルートでも、「ポータブルスキルを身につけろ」とはよく言われました。インターネットのサービスやプロダクトは、Web、アプリ、事業ドメイン、ビジネス向けかコンシューマー向けか……と幅広い。自分に足りないことが見えてくるから、もっと勉強したくなります。

 若い人からキャリア相談を受けることが増えましたが、今の仕事の外におもしろいものがあるんじゃないかと考えている傾向を感じます。外部環境を変えることを癖にすると、「つまらないのはプロジェクトや環境のせい」と、次を探し続けてしまい、成熟しません。まず、自分の担当している仕事で自分の興味や好奇心を育めるものが本当にないのかを探してみるといいと思います。テーマとしては、「普段の仕事をいつもの時間の半分で終わらせる方法はないのか?」などでもいいです。成長や好奇心を育めそうなポイントを一つみつけて挑戦を積み重ねると、自分の世界も広がります。また、自分のスキルってなんだっけと悩む人も多いですが、たとえばLinkedInなどを見ると、まだ日本では視覚化・言語化されていないスキルや職種が見つかるものです。その中から自分に近しい職種の人や「これを強みにしよう」というカテゴリーを探し出し、それらを眺めながら自分の中で言語化できてくると、自分のキャリアに自信がついてくるのではないでしょうか。たとえばマーケターは、プロダクトをユーザーに届ける活動すべてが仕事です。業務が多岐に亘るからこそ、自分のスキルを要素分解して、成分表のように考えると、強みや足りていない部分が見えてきます。足りない部分を悔やむのではなく、強みを足がかりに新しいプロジェクトにチャレンジすると、足りていない部分にも詳しくなれると思います。

――最後に、今後の目標を教えてください。

 まずは、企業や店舗とのコミュニケーション手段をLINE化して、もっと便利にしていきたいです。そして個人のキャリアとしても、自分の知らないことに挑戦していこうというスタンスは、貫きたい。プロダクトマネージャーという軸も変わらず、この職種で人生を歩んでいこうと思っています。

 僕は、仕事の中でプロダクトリリースの瞬間が好きです。他にも、職場の仲間が「やった」と手応えを感じてくれているときや、家族や周りが良いねと言ってくれる、手触りのある感触を得られたときが嬉しいです。世の中に大きな影響を与えたなどは、あまり感情には響きません。自分の周りが喜び、嬉しいと感じ、一生懸命に仕事をやりきっている姿を見たときが、幸せです。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/07/25 14:15 https://markezine.jp/article/detail/31593

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