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『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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編集長インタビュー

マーケターは論文を武器にせよ ビジネスパーソンがいま論文を読むべき理由

 一般的にビジネスとアカデミアでは大きなギャップがあると言われていますが、最近ではビジネスの一線で活躍しながら大学院やMBAに通うマーケターが増えています。「学校に通わずとも、アカデミアの知識は論文を読めば簡単に取り込める。そしてビジネス界の答えがすでに論文では明らかになっていることもある」と、民間企業のマーケターから、現在は法政大学の教授となった西川英彦先生は言います。マーケターが論文を武器に、一歩飛躍する方法についてうかがいました。

ビジネスパーソンがアカデミアに足を踏み入れる理由

安成:2019年4月からMarkeZineの編集長に就任した安成です。今日は、日本マーケティング学会で副会長とマーケティングジャーナル編集委員長を務める、法政大学の西川先生を訪ねています。

 昨今、ビジネスの一線で活躍しながらも、大学院やMBAに通うマーケターやビジネスパーソンが増えているように感じています。西川先生のゼミにも、そういった方々がいらっしゃるかと思いますが、みなさんはどういった目的で通われているのでしょうか?

西川:研究がしたいという動機だけではなく、普段取り組んでいる実務自体をブラッシュアップして自身のステージを上げたいと考えているのではないでしょうか。大学院やゼミで学んだ新しい理論や知識と、実務とを組み合わせることで、新しいアイデアや発想が生まれることを期待しているように思います。

安成:キャリアアップを見据えて、入学される方も多いのでしょうか?

西川:そうですね。最初の入り口では、単純にキャリアアップや、仕事に向き合う中での悩みや課題を解消する取っ掛かりができればなど、割と気軽に足を踏み入れている人も多い印象です。

安成:気軽な動機で入るには、大変なイメージがあるのですが。

西川:資料づくりや発表があるので、そうしたことに慣れていない方だと最初は大変と思われるかもしれません。ですが、走り出すと慣れてきますし、一人でなく仲間と一緒に取り組むので、そこまで苦労されている様子は見えないですよ。

 「ジェットコースターみたいに、乗るまでは怖いけど乗ってしまえばあっという間」と表現した修了生がいましたね。そんな感じに、気付いたら2年間終わってしまっていたという人のほうが多いのではないでしょうか。ビジネスとまったく違う世界を知るチャンスがあるので、それを知らずに1回限りの人生を終えるのはもったいないですね。

法政大学経営学部・大学院経営学研究科 教授 博士(商学)
日本マーケティング学会 副会長 西川 英彦氏

アカデミックな発想を、ビジネスに応用する

安成:西川先生は民間企業での経験を経てから大学の先生になられていますが、もともとそういったキャリアを歩みたいと考えていたのでしょうか?

西川:実はまったく、志していたわけではありませんでした。ワールドに在籍していた当時、働きながら大学院に通う先輩がいて、面白そうだなと思って自分も軽い気持ちで大学院に通い始めたのがきっかけでした。

 その頃、会社では新規事業のビジネスモデルを作っていたのですが、大学院で学んでいく中で、単に仕組みをつくるだけでは駄目で、理論が大事だということを教えてもらいました。印象深かったのが、『マーケティングの神話』の著者で、ゼミの指導教員でもある石井淳蔵先生から学んだ「コンビニの仕組み」の話。夫婦一緒に働ける喜びという家族制度がコンビニのビジネスモデルには織り込まれている、という話でした。それまでそんな発想を持ったことがなかったので、新しい視点をもらいました。

 そのうち会社の中でも、そうした知識を組み合わせて実務に活かす場面が増えていきました。会社でビジネスの知識や考え方は身に着けていましたが、それに加えてアカデミックな、ともすれば一瞬無駄に思える話が入ってくることにより、モノの考え方が深まったり、自分の発言もどんどん変化していくのを実感しましたね。それが楽しかったこともあり、アカデミックの世界へ入りました。

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論文の中に、実務の課題の答えが出ている可能性も

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31670

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