2.飽くなき自己ツッコミ:読者目線で自分にダメ出し
企業が作るコンテンツはどうしても広告臭がする。「そりゃあ自社商品の紹介だし、良いことしか言わないよね」と思われるのは仕方ない。10伝えても4くらいしか受け入れられないのが宿命だ。消費者の立場で考えたら、そのへんの感覚は理解できるだろう。
では、10伝えて8か9受け入れられるようにするためにはどうするか。それには読み手のツッコミ(疑問、不信感)に先回りした内容をコンテンツに盛り込んでしまうのがいい。ポイントは「自社をどこまで客観視できるか&正直になれるか」だ。業務用コーヒー豆でいうと……。
<Before>
「焙煎にとってもこだわっています」
耳にタコができるほど聞き飽きた「こだわり」というワードは手垢に汚れすぎて、もはや全然響かない。本当で「こだわっている」のなら、そのワードを使わずにこだわりを表現してほしい。

そこで、こう”ツッコんで回答する”のはどうだろう?
<After>
「コーヒー豆の焙煎にこだわっているようではまだ二流 40年間の試行錯誤の末にたどり着いた“焙煎の常識を壊す”焙煎法について」
ツッコむときは、顧客が想起するであろう「どうせ」「たかが」「所詮」といった客観的な視点で行おう。言い方に語弊があるかもしれないが、S気質で己に切り込んでいくと、コンテンツの粗や穴、ボロが見えてくる。
たとえば、
( ̄o ̄) ツッコミ:「どうせ、あらかじめ全部焙煎してあるんじゃないの?」
→回答:煎った豆は、密閉容器に入れておいても10日も経つと香味が落ちてくるので、弊社は生豆の状態で保管して、注文を受けてから焙煎・出荷している。
( ̄o ̄) ツッコミ:「たかが加熱するだけのことでしょ?」
→回答:焙煎の程度によって、「浅煎り」、「中煎り」、「深煎り」がある。
( ̄o ̄) ツッコミ:「所詮、どの業者だって似たようなことを言うしなぁ」
→回答:大手のコーヒー会社は一回で終わらせる工程を、我々は5回に分けている。焙煎時間や火力をコンピュータ制御で調整すると大量生産は可能だが、味は落ちるので弊社では行わない。
こんな感じだろうか。
「こだわり」という単語を使わずに、物事に妥協せず、とことん追求する姿が垣間見えたと思う。客は常に複数の選択肢があり、疑問が解消しない、信頼できないと思ったらすぐ立ち去る。その上、広告表現に慣れきっており、簡単には信じない。だからこそ(自己ツッコミで先回りして)疑いや不信感の膿を出し切るのだ。
それにしても、「公式サイトの情報を読み手は全面的に受け入れてくれる」と信じる希望的観測に満ちた企業コンテンツのいかに多いことか……。
【ポイント】
NG:読み手の疑問に答えず、自社都合で完結する
OK:率先して「ツッコむ」→根拠を示して返す