組織統合を進め、従業員体験も向上
原嶋:あらゆる領域を統合し、オムニチャネル化を推進するなかで、従業員一人ひとりの評価はどうされているのでしょうか。店頭での接客をきっかけにECで購入する場合もあれば、ECで商品を閲覧し、店頭で購入する場合もあるとなると、そのアシスト的な動きも評価対象になるのかなと。

加藤:当社では、組織の統合も進めています。これまでは、EC、実店舗それぞれで売上目標を追っていたのですが、全事業部で目標を統一しました。EC、店舗関係なく、全部署が1つの目標に向かって邁進できる状態にしたのです。
原嶋:店頭スタッフの貢献度はどのように評価されているのでしょうか。
加藤:スタッフの評価も、チャネルをまたいで計測できるようにしていて、よりWeb活用するよう促しています。たとえば今年10月には、店頭での接客がEC売上に貢献しているかどうかも可視化する仕組みを構築する予定です。店頭での接客時、その場では買わないお客様にQRコード経由で商品情報を送り、後からお客様がその情報を見てECで購入した場合、どのスタッフが接客したのかがわかるようにするのです。
また、販売員がWebサイト上でチャット対応できるようにもしていく予定です。チャットで対応できるようになると、スタッフは店頭にいなくても接客できます。そうなると、いろんな働き方を実現できますよね。接客は、何も店頭だけで完結するものではないなと。リアル店舗ではお客様と1対1の接客に終始しますが、Webだと1対Nの対応ができる。デジタルの力を借りて、販売員の可能性を広げていきたいと考えています。
業界トップの実績を作り上げたノウハウを横展開

原嶋:スタッフの方々を適切に評価し、モチベーションを挙げていくことで、最終的には顧客満足度向上に寄与できるというわけですね。
加藤:顧客満足度は一番追っていきたいところですからね。当社では、8年前からNPSを実施していて、お客様の声に耳を傾け続けています。オムニチャネルを推進するのも、店頭スタッフの働き方多様化を推進するのも、すべてお客様の意見を反映させたものです。
もちろん、闇雲に「お客様に喜んでもらう」ことを追っているわけではありません、NPSと売上の相関関係を計測し、NPSを上げるとどれだけ事業が成長するのかも可視化しています。
原嶋:最後に、今後の展望を伺えますか?
加藤:ベイクルーズグループ保有のブランドに対し、「360度支援パッケージ」を提供していく予定です。試行錯誤しながら施策を進めていくなかで、多くのナレッジがたまってきました。OMOも推進し、ブランドを成長させるためのノウハウが蓄積できてきたので、それをもとに、グループ内でまだ成長の余地があるブランドをサポートしていきたいと思っています。
現状はグループ企業内に向けて提供する予定ですが、将来的にはより広い範囲に提供していきたいですね。チャネル関係なくお客様が気持ちよくお買い物できるブランドを、少しでも増やしていきたいです。