SNS上で注目集まる採用マーケティング事例を探る
こんにちは。スパイスボックス 採用コミュニケーション事業部 事業部長の秋山 真(あきやま しん)です。今回はいつも執筆しているスパイスボックス 取締役 事業統括責任者の森竹アルに代わり私が担当させていただきます。
本連載では、企業プロモーション事例の他、映画や音楽、政治など幅広い分野のコンテンツがソーシャルメディア上でどのようにシェア拡散され、生活者からどのように反応されているのかを解説してきました(前回記事はこちら)。
今回取り上げるのは、企業の採用マーケティングについてです。新卒採用の通年化などを中心に、昨今大きく変動する採用市場において、優秀な人材を獲得するための広報やPRの強化が重要視されています。実際にSNS上で注目されている企業事例をご紹介しながら、今後、人事や広報・マーケティング担当者が採用目的のコンテンツをシェア拡散させていく際、どのようなスタンスで何を行うべきなのか考えます。

学生の就職活動は超早期化、長期化の時代へ
2019年4月、経団連と大学側が新卒の就職活動を「通年採用」に移行していくことで合意しました。これにより、現在春の一括採用に偏った企業の採用活動も、通年化に向けて動き始めています。たとえば、ファーストリテイリングやリクルートは通年採用へシフト。ソフトバンクや楽天も新しい採用制度を設けるなど、企業側の変化が見られます。
一方で学生側の動きとしては数年前から、実態としての「通年化」は顕在化しており、大手就活ナビサイトのオープンや企業の情報解禁が行われる3月1日よりも前に、Webメディアや口コミサイト、OB訪問などを通じて企業の情報収集を始めています。そのため情報解禁の3月時点で既に、就職したい企業や就きたい職種などの意思が固まっている学生も少なくありません。
「通年採用」が本格化されていくと、学生の意思が固まる前にいかに認知を獲得できるか、といった企業の採用マーケティングが成功のカギとなります。
職場に求めるニーズや価値観の変化
採用の通年化という構造の変化だけではなく、近年は学生の価値観や働く環境に求めるニーズの変化についてもパラダイムシフトが起きています。スパイスボックスのソーシャルリスニングツール「THINK」で測定し傾向を見ると、たとえば“若手が成長しやすい職場環境”というテーマでいうと、2017年は「ベンチャー志向」の文脈に肯定的なエンゲージメントが多く、大企業=成長できない、というイメージが普及しがちでした。
ただ2018年で見ると、前年の傾向から変化が見られ“安易なベンチャー志向の弊害”や“大企業のホワイト化”といった「大手志向」文脈へのエンゲージメントが増えており、若手にとって大企業も魅力的な職場環境である、ということへの共感が多く見受けられました。ちなみに定量的にデータを見ると2018年の大手志向に対するエンゲージメントは、2017年のベンチャー志向よりも多い傾向にあり、世の中からより関心を集めているという見方もできます。
これはあくまで一例ですが、このような傾向の変化からも成長できる環境という定義が年々シフトしているといえます。加えて、パラレルワークやリモートワークなど、昨今様々なワークスタイルの事例や実績も出てきている中で、価値観の変化だけなく、働く環境に求めるニーズの多様化も同時に進行しています。これらの傾向を捉えると、企業はその時々の文脈やトレンドに合わせた情報を発信することが大切といえるでしょう。