アプリダウンロード後、顧客との継続的な関係をどう築く?
――マーケターにとっては、アプリをリリースしてからが本番です。というのも、日本のモバイルユーザーがインストールしているアプリの数は平均80個を超える一方で、実際に使っているのはその3割という実態が明らかになっています(「App Ape モバイルマーケット白書」より)。
伊藤:かつてはダウンロード数を伸ばすことがアプリマーケティングのメインでしたが、今はダウンロード後に顧客とどう継続的な関係を築いていくかが非常に重要になっています。
永野:ダウンロードされたアプリを、実際にお客様がどう使っているのか、もしくはどのタイミングで離脱しているのか、よく使われている時間や利用時間の長短など、アプリから得られたデータをどう事業に活かしていくのか。そのデータから導き出した仮説をテストしたい時にすぐに実装・検証できるのか。また仮説を検証するために必要なデータをそもそも計測できているのか。
こういった視点が、アプリの運用に挑むマーケターがサービスを選定する時に見るべきポイントでしょう。そして、ユーザーにアプリを継続的に利用してもらうリテンション施策を、マーケターが縦横無尽に実行する際に役立つのが、Herokuの拡張機能である「FollowAnalytics」です。
伊藤:一般的にアプリの制作には、平均で9ヵ月から12ヵ月程度はかかると言われていますが、その間にユーザーの環境も変わってしまいます。この期間を短縮して、できるだけ早くリリースした上で、改善を積み重ねていくアジャイルさが、このデジタルの時代には求められます。FollowAnalyticsを活用すれば、アイデアをアプリに展開するスピードを格段に上げることができるのです。
FollowAnalyticsで実現できるマーケティングドリブンな世界
――HerokuにアドオンしてFollowAnalyticsを活用すると、具体的にはどんなことが可能になるのでしょうか?
永野:Herokuは150を超えるサービスと連携し、巨大なエコシステムが広がっています。FollowAnalyticsもその中の一つという位置づけで、マーケターのモバイル戦略に非常にフィットします。FollowAnalyticsの代表的な3つの機能としては、「モバイルアプリ構築」「モバイル分析」「Salesforceへの統合」があげられます。
モバイルアプリ構築
FollowAnalyticsを使えば、単にアプリを作るだけであればWebサイトのURLを取り込むだけで、ものの数分で自動的にアプリが出来上がる。出来上がったアプリは、Apple Payを使ったペイメント機能やFace IDを使った認証機能などの詳細な機能をドラッグ&ドロップで追加&削除できる。実際にスマートフォンにインストールすることも可能だ。
モバイル分析
データを取得するためには、SDK(Software Development Kit)をコードに入れ込むことで、様々なデータをプラットフォーム側で得られるようになる。FollowAnalyticsはiOSからAndroid SDKまで多くのSDKをもっており、それらを使って様々な行動データを取得することで、自由自在な分析を実現している。
具体的には、どこの国・地域で最も使われているとか、最もユーザーのアクセスが集中する時間帯、さらにはログインした人数やカートに商品を入れた人がどのくらいいるのかといった数値まで、データで可視化できる。可視化されたデータは、セグメントとして登録が可能になり、例えば過去30日以内に商品を購入し、アプリを1日5分以上利用しているユーザーを特定するといったことが可能になる。また登録されたセグメントに対して、定期的にプッシュ通知を送信したり、あるイベント(店舗の200m範囲内に、日中の12時から2時の間に近寄った)をトリガーにしてプッシュ通知を送ることができる。
Salesforceへの統合
セールスフォースが提供するMarketing CloudやSales Cloudなどと簡単に統合ができる。総合的なマーケティングプラットフォームであるMarketing Cloudや、ECサイト運営を支援するCommerce Cloudと統合することで、よりビジネスに貢献する分析や打ち手を起案することが可能になる。