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“顧客体験の創造的破壊者”たち――彼らはなぜ勝者となれたのか【INBOUD2019レポート】

ペルソナから離れたパーソナライズを(ただし、やりすぎには注意)

 3つ目は「Personalize(パーソナライズ)」だ。何を今更、と思われるかもしれないが、Experience Disruptor企業のパーソナライズは、これまでのものとは少し異なる。「彼らは『ペルソナ』作りを避けている」とハリガン氏は説明する。

 たとえばNetflixやSpotifyがわかりやすい例だが、これらのサービスは同じ20代女性が使っていたとしても、表示される映画や音楽は異なる。これは両サービスが、20代女性というような「ペルソナ」ではなく、「データ」に基づいたパーソナライズを行っているからだ

 「私たちがサービスを利用すればするほど、私たちの『指紋』がそのデータベースに蓄積されていき、蓄積が多いほどパーソナライゼーションも向上します。これが、彼らが成功した秘訣なのです」(ハリガン氏)

 ただし、「パーソナライズのしすぎは危険です」とハリガン氏は続ける。近年米国では“過剰なパーソナライズ”に対する反感も強まっている。「データの取り扱いには、十分な配慮が必要」と、注意喚起も行った。

「顧客にモノを売る」から「顧客を通して売る」へ

 ハリガン氏は、「既存企業は“Sell Your Customers(顧客にモノを売る)”ことに長けていますが、Experience Disruptor企業は、“Sell Through Your Customer(顧客を通して売る)”ことに非常に長けています」と話す。これが4つ目の特徴だ。

 ハリガン氏が例に挙げたのは、米国でミレニアル世代を中心に絶大な人気を誇るコスメブランド「Glossier(グロッシアー)」だ。同ブランドはInstagramやYouTubeを通してコスメの使用感などをわかりやすく伝えることで、ユーザーからの支持を集め、それが好意的な口コミにつながり、シェアを伸ばしていった。

既存のビジネスモデルにとらわれない

 最後は、「Attack Your Business Model(既存のビジネスモデルを壊す)」だ。既存のビジネスモデルを壊すとは、どういうことだろうか。ハリガン氏が例として挙げたのは、ペット商品の専門店Chewy.com(チューイ)の取り組みだ。

 「私は以前、Chewy.comで愛犬ロミオに犬用の服を購入したことがあります。しかし、なんとサイズを間違っていたのです。私はChewy.comに返品したいと申し出ました。すると、どうなったと思いますか? Chewy.comは正しいサイズの服を私に送り、サイズが合わなかったものは知り合いに譲ることを薦めたのです」(ハリガン氏)

ハリガン氏の愛犬ロミオ
ハリガン氏の愛犬ロミオ

 同社はこうした返品手続きの手厚さなどで、ユーザーの支持を集めていった。さらに「これは他の観点で見ても、スマートな施策です」とハリガン氏。「同社はユーザーからの支持を得るとともに、“返品コスト”を少なくし、さらに知り合いに薦めさせることで“未来のユーザー”をも掴むことができたのです」

 ハリガン氏は最後に5つの特徴をまとめるとともに、「この5つの特徴の素晴らしいところは、ブロックチェーンやAIといった難しいものは出てこないところ。ぜひみなさんも明日から挑戦してほしい」と述べ、セッションを締めた。

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/09/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31986

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