※本記事は、2019年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』45号に掲載したものです。
法人向けPC事業 前年比134%に成長
VAIO株式会社 マーケティング部 部長 林裕之(はやし・ひろゆき)氏
大学卒業後、複数の会社でコンサルティング、および新規事業立ち上げを担当し、2013年3月からGoogleにて様々な業種・業界に対してオンライン広告の活用を提案・実施。2018年8月よりVAIOに参画し、現在はマーケティング部部長としてデジタルを中心としたコミュニケーションを展開。
――VAIOは今年7月、かつての母体であったソニーから独立して5周年を迎えたそうですね。独立以降、法人向けPCの販売に注力され、とても好調とうかがいました。
そうですね。ソニー時代のVAIOはデザイン性にこだわったBtoC向けPCというイメージが強く、実際にBtoCの売上が大きかったのですが、今年5月時点ではPC販売台数のうち法人向けPCの割合が72%を占めており、法人向けPC事業の台数成長率は前年比134%となりました。
デザイン性もさることながら、BtoBで求められる高度なパフォーマンスを提供するモデルのラインアップを増やしており、また法人向けの納品時の「キッティングサービス」も利用率45%と好評ですね。これらの背景に、数年単位で取り組んできたBtoBマーケティングの変革があると考えています。
――法人向けPCのターゲット像は?
企業の規模はそこまで絞っていませんが、当社は国産のものづくりへのこだわりや、CPUパフォーマンスの強化、周辺サービスの充実を図っているため、価格よりもそうした部分で選ぶ企業、またそうしたものを必要としている企業をターゲットと捉えています。逆に、パフォーマンスよりも価格重視の顧客の場合、VAIOで価格を競うのは厳しいので、そこで勝負する考えはありません。
――現在の体制において、ABMにも取り組まれているのですよね?
はい。正確には、ABMはいくつかの柱のうちのひとつです。インサイドセールスを介さず、従来どおり担当営業や販売店を介した販売、また主にSMB(中堅中小企業)向けのECも並行して走らせています。
また当社の場合、「ABMを導入するぞ」と決めて、何らかのひな形やケースに沿って実装したわけではないんです。あくまで、現場の課題を洗い出して解決を探る過程で、結果的にABMの形に近づいていきました。現在はさらにそれを突き詰め、当社に最も適したABMを構築している最中です。