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半歩先行くコンテンツマーケティング 「独自性」を紐解いて活用する

ネタに独自性がなければ“初めての人”になれ!ベイジの枌谷さんと考えるコンテンツの質を上げる方法


コンテンツを作るときに意識している3つのポイント

中山:枌谷さんは、コンテンツに自身の色を出そうと努力したりしますか?

枌谷:今回のテーマを根本的に覆しちゃうかもしれませんが、実は私、「独自性を出そう」って、コンテンツを作るときにまったく考えていないんです。それよりも、
・どういう書き方をしたら読む人が興味をそそられるだろう?
・どういう記事を読む人は求めているのだろう?
・どういう内容なら読む人の固定観念が覆されるだろう?

という観点を強く意識しています。

 その結果、独自性が出たり出なかったり、ということだと思うのですが、独自性に固執せず、読者が楽しんでくれること、納得してくれることを想像して、コンテンツを書いています。

中山:そうすることで自ずとオリジナルなものになる?

枌谷:そこは受け手の問題なので、あまり意識しません。もしかしたらそんなにオリジナルじゃないかもしれない。見る人が見れば「こんなの他の人も言ってるよ」って話かもしれない。どう受け止められるかは成り行きに任せて、「自分は読者にこのことを伝えたい!」という気持ちを込めて書くことを優先する、ということです。

中山:枌谷さんの文章って、淡々としているのに不思議と熱いんですよね。

枌谷:文章量が熱量を伝えているのかもしれません。「こんなにこのテーマについて語れるなんて、熱量があるに違いない」みたいに思わせる空気感を出しているというか。

 文章は文字の組み合わせに過ぎず、本来は熱なんてないです。でも、浅い内容のサッパリした文章と、深くて濃い内容のこってりした文章とでは、たとえ同じような文調や文体であったとしても、書き手の熱量が違って見える。

 私の場合、「私はこう思う」という結論だけでなく、そこに至った思考プロセスをできるだけ丁寧に書き連ねるようにしています。わかってる人からは「しつこい」「長い」「3行ではよ」と言われちゃうのですが、反面で「熱量が高い」とか「熱い記事」と言ってもらえたり、「独自性がある」と錯覚してしまうのかもしれません。

中山:なるほど。

枌谷:たとえば、私は世の中の採用サイトのほとんどがダメだと思っていて、それをまとめたのがこの記事です。

◇多くの採用サイトが間違っていると私が思う理由(ベイジの社長ブログ)

 一方的に「ダメ」と主張するだけでは説得力に欠ける。そこで、なぜそう思うかを淡々と語っています。すると、採用サイトに強いこだわりを持っているように受け取ってもらえます。実際、この記事を読んで、採用サイトをリニューアルしたいと連絡してきた人事担当の方が何人もいます。

 ポイントは、結論に独自性は特にないことです。「採用サイトがダメ」と思っている人はたぶんいっぱいいるはず。その主張自体にはオリジナリティはなくても、自分の思考回路、物事の考え方を丁寧に紡ぐことで「こんなコンテンツ、見たことなかった」という体験を与えられたのかなと。

中山:みんなが薄々考えていることをすっきりと言語化してくれているんでしょう。だから「そう、よく言った!」と膝を打つ。

ネタに独自性がなければ“初めての人”になれ

枌谷:ネタ自体に独自性を見つけるのは、すごく難しい。そういうときは、「ここまで深堀りして丁寧に書かれた記事はこれが初めてだろう」という風に視点を変えればいいんです。「視点のズラし方」は独自性を考える上で大事なポイントです。

 企業のサイト制作をお手伝いするときコンテンツの企画を出すんですけど、よくお客さんに「うちの商品には独自性があまりないので、それは語れません」と言われます。

 でも視点を変えて、競合も持っている機能で特に独自性はないけど、競合は自社サイト等でそのことを深く語っていない。それに対して、「なぜこの機能をうちは備えているのか。なぜなら会社はこういうものでこういう仕事の流れがあるから私たちはこういう機能が大切だと思っているんです」と書けば、機能として独自性がなくても、読み手には「この会社の独自性かも」という印象が残ります。

中山:書き手の視点ではなく、読み手の視点での独自性ってなんなのか? という発想はとても大事ですね。

枌谷:企業は自社製品を知り尽くしているので、「うちに独自性なんて……」って諦めがちですけど、読み手はその情報を知らないかもしれない。「私たちはなぜこういう機能を提供しているのか、どうしてこれをやろうと思ったのか」を丁寧に語ってあげれば、それは誰も語ったことがない、独自性のあるコンテンツになり得るんです。

まとめ
1.「機能的な違いの差別化」には限界があると知る
2.「カルチャー・価値観・歴史・文化」は独自性の源泉となる
3.「自分をさらけ出し、主観で表現する」ことを恐れない
4.「リーダーは挑戦する社員に協力的である」こと
5.「深堀りする」ことで、ネタの独自性は凡庸でも独自性は生まれる

 次回も引き続き枌谷さんとの対談の様子をお届けします!

▼連載の過去記事はこちらから!
◇「独自性」を出すってこうすればいいんでしょ?えっ違うの?【コンテンツマーケにおける2大誤解パターン】
◇「くっ、コンテンツの独自性ってどう出すんだよ!」と悩んだら、この3つの方法を思い出して欲しい

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この記事の著者

中山 順司(ナカヤマ ジュンジ)

SEO・ソーシャル・動画の3領域でのコンテンツ企画と制作が得意な生粋のコンテンツクリエイター。ソフトバンク、楽天トラベル、Six Apart、freee、ファベルカンパニーを経て2024年に独立。コンテンツマーケティングを専業とし、オウンドメディアとYouTubeの設計 / 企画 / 執筆 / 編集 / 分析 / 改善 / SEO を幅広く行う。MarkeZine、Web担当者Forum、ねとらぼ、WorkshipMAGAZINE等で執筆しつつ、Content ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/09 11:58 https://markezine.jp/article/detail/32030

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