「INBOUND」はビジネス成長をともに考える場
MarkeZine編集部(以下、MZ):「INBOUND2019」、すごい熱気ですね。MarkeZine編集部は今年初参加だったのですが、このINBOUNDというイベントは、今年で8回目の開催だそうですね。今回、このイベントを通してHubSpotとして一番伝えたいメッセージはなんでしょうか?
JD シャーマン氏(以下、シャーマン):まずお伝えしたいのは、このINBOUNDというイベントは、我々HubSpotが主催しておりますが、当社が提供する製品についてお伝えする場ではないということです。INBOUNDは、私たちのお客様が、“いかにそれぞれのビジネスを成長させられるか”というところを、一緒に考えていく場なのです。
JD シャーマン氏
HubSpot米国本社COOとして米国外を含めたHubSpotの事業全体を統括。
HubSpot参画以前はAkamaiのCFOとして6年間で同社の収益を2億USDから12億USDに押し上げ、S&P500 indexに追加された。またIBM在籍時代の15年間はシステム&テクノロジーグループのChief Financial Executieを始め、多くの財務エグゼクティブのポジションを担当。
シカゴ大学にてMBA取得。
シャーマン:ブライアン(※)もキーノートスピーチで話していましたが、ビジネスで成功を収めるためには、“Sell Your Customers(顧客にモノを売る)”ではなく、“Sell Through Your Customer(顧客を通して売る)”という考え方が重要です。そして、これを実現するためには、お客様の期待に応え、最高の体験を提供する必要があるのです。そのことを、今回のINBOUNDではあらためてお伝えしました。
企業が直面する2つの課題
MZ:企業のビジネス成長を一番に考えられているということですが、彼らは今、どういったところに課題をもっているのでしょうか?
シャーマン:課題は大きく2つあります。1つ目は、近年、顧客は企業を信用しなくなってきていること。「広告に書かれていることや、セールスマンが話すことは信用しない」という人がとても多いのです。では、そういった方たちがどのように商品・サービスを買っているかというと、友人と話したり、SNSのコメントをみたりと、自分たちでリサーチして買っています。
今、多くの企業が顧客体験(CX)に力を入れている理由も、ここにあります。企業は素晴らしい顧客体験を提供することで、企業・製品の良さを“顧客に広めてもらう”必要があるのです。
2つ目は、これは近年の米国の特徴といえるかもしれませんが、お客様は“明確なミッション”をもっている企業を応援する風潮にあります。つまり、ただ売上をあげようとしている会社ではなく、「世の中をよくしたい」という“ミッションをもった会社”から買いたいと思っている人が増えているのです。
MZ:ミッションをもった企業が支持されている風潮は、御社 CMO キップ・ボドナー氏のセッションでも語られていました。ボドナー氏が話されていた「数字だけを追っていては、今後の社会で生き残ることはできない。社会的な理念や環境に優しいビジネスを行うことが、心地良い顧客体験の提供につながり、ビジネスの成長に寄与する」という言葉は印象的でした。