ビッグワードを狙った記事はシステムで対応
ミエルカと企画力をうまく組み合わせ、選定したキーワードに合ったコンテンツを作ってきたベネッセ。続いて同社は、犬や猫のビッグワードである種類名を狙ったコンテンツ制作に取り組んだ。
たとえば「トイプードル」は、月間検索数が数十万件という規模がある。しかし、取引型の検索意図が強く、ペットショップやブリーダーが検索上位に掲載されている。つまり、検索量はあるが、ストックコンテンツにしづらいキーワードなのだ。
そこで白砂氏らは、「単ワードで検索する人は、犬猫を飼いたいと考えている人たちだ」とペルソナを立て、検索意図を深掘りし、コンテンツ内容を設計していった。
「チワワを飼いたいと思って検索した人は、同じように小さい犬種にも関心があるはず。ですから、検索した種類に近しい他の種類の情報も表示したコンテンツが良いのではないかと考えました」(持田氏)
あわせて、検索量の多い大型犬/中型犬といったカテゴリ別、犬種猫種別のページを制作するだけでなく、情報の内容も「飼い主向け」から「飼いたいと検討している人」向けに変更。写真と人気ランキングの他、飼いやすさなどをレーダーチャートで表した。
こうして、犬猫の種類名というビッグワードを狙った「犬図鑑」「猫図鑑」のコンテンツが形になっていった。テキスト記事を制作・編集するCMSでは制作が難しいため、システムのリニューアルで対応している。
10月に公開された図鑑コンテンツは犬を約130種、猫は約40種をカバー。検索流入が増えており、ウェブマガジンを支えるコンテンツになると期待が寄せられている。
あらゆる流入に対応できるコンテンツ制作体制とは
セッションの最後は、コンテンツマーケティングの制作体制について語られた。
現在ベネッセの体制は、「いぬのきもち」「ねこのきもち」のWebマガジンのそれぞれの編集長が、全体のコントロールと外部配信コンテンツを担当。直下の持田氏が、SEOを担当している。そして、ディレクターとライターがコンテンツの制作進行を行う。
「初期は知見を貯めるため、記事の構成も社内で考えていました。また、編集長とも連携をとり、テーマによりストックかフローどちらのコンテンツで制作すべきかを考えています」(持田氏)
実は、同マガジンの副編集長となり、はじめて本格的にWebに関わることになった持田氏。未経験からのコンテンツマーケティングを成功に導いた背景を、白砂氏は次のようにまとめた。
「まずは、検索ニーズからテーマを設計し、検索意図と検索者像をしっかり捉えたコンテンツ作りができたことです。そして、ストックコンテンツとフローコンテンツの役割を明確化し、検索流入だけでなく、あらゆる流入に対応できるコンテンツ制作の体制があることも成功のポイントです」(白砂氏)
そして終わりに、白砂氏はミエルカの機能を紹介。検索意図やユーザーニーズ分析などのツール、そしてミエルカを活用するための学習コンテンツ、対面によるコンサルティングと一貫したサポートは、持田氏も頼りにしていたそうだ。また、300人規模でユーザー会も実施しているという。白砂氏はツールだけでなく、利用者向けの学習コンテンツ(動画など)やカスタマーサクセスによる伴走サポートにも力を注いでいることをアピールし、セッションを締めくくった。