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「天気の子」コラボが大きな話題に クラシルに聞く、強力コンテンツとのコラボの秘訣

Twitterで発生した「劇的」な成果とは

MZ:今回のコラボの成果はどうでしたか。

井指:過去のコラボと比較しても非常に大きな成果が生まれました。特にTwitterでの情報拡散が大きく、動画の再生数は平均の49倍、いいね数は85倍、リツイート数も1万6,000回と、非常に多くの方にリーチすることができました。

 一般の方はもちろん、インフルエンサーの方や芸能人の方も拡散してくださり、中にはYouTubeで「作ってみた」動画を上げている方もいました。

MZ:これまでのコラボをはるかに上回る数値が出たんですね。

井指:新海誠さんの作品は、鑑賞後もゆかりの場所が話題になる傾向があるんです。その中で、レシピ再現というのはハードルが低く作品の世界観を体験できるので、多くの方に「レシピ動画を見る」「劇中レシピを作ってみる」といったユーザー体験を提供できたのではないかと思います。

 Twitter上でも「天気の子 レシピ」の言及があるツイートは6,000件近くあり「天気の子 クラシル」で検索している方も数多くいたので、非常に良かったです。

野村:今回のコラボで特に良かったのは、ユーザーからの発信が非常に多かった点です。「あのチャーハンおいしそう」「クラシルにレシピがあるらしい」「作ってみたら簡単でおいしかった」というように、ユーザーが自然な体験の中でコンテンツを消費し、自発的な発信が増えることで新たな発信を生む、という好循環を作ることができていました。

 「料理」というコンテンツをきっかけに、「天気の子」に興味関心がある人とクラシルのユーザーにおける重なりの中で認知が形成されることにより、双方にとって本質的に意味のあるユーザーの拡張が実現できていたと思います。クラシルにとっては、ただサービスに接触したりアプリをインストールしたりするだけでなく、その後の「作る」という行動まで促せたのは「天気の子」とのコラボならではだと感じています。

コンテンツの中身から入ったコラボを

MZ:今回の事例を通じて得られた知見はありますか。

井指:やはり、コラボ施策には双方の親和性が非常に重要だという点ですね。クラシルのレシピ動画は20-40代の女性を中心に、のべ3,800万人以上の方にご利用いただいています。食をテーマとしたコンテンツはもちろんのこと、食を軸にさまざまな文脈でコラボさせていただけたらいいなと思っています。また、今回は想定以上の反響があり、一部後追いでの施策となってしまった部分もあるので、そういった施策をより早い段階で実行できる体制を整えたいです。

野村:今回の両レシピともに「チャーハンにポテトチップス?」「サラダにインスタントラーメン?」と、良い意味での違和感を覚える部分を作ることができたのも、作品制作段階からご協力させていただけたからだと思っています。

 もちろん、「天気の子」という作品の力が非常に大きいと思いますが、これがただのチャーハンとサラダでは、ここまで話題にはなっていないと思うんですよね。全ての映画やコンテンツの制作段階に関わらせていただくのが難しいのは承知のうえですが、コラボする際は可能な限り、ただ作品に出てきたレシピを動画で再現する、というだけではなく、「食」という切り口を通したコンテンツとしての広がりや、ユーザーにとっての「ざらつき」のようなものをどう設計していくか、という段階から一緒に取り組めると良いなと感じました。

MZ:では、最後に今後の展望を教えてください。

井指:コラボに関して言えば、そのコンテンツの中で料理がキーになるような作品と新しいことをしたいです。我々も柔軟に対応できる体制があるので、シーンの背景などを含めて共有していただければ、作品に合ったレシピを考案・提供できます。

 複数の会社様と情報交換をさせていただくと、コンテンツのPRにおけるデジタルシフトは着々と進んでいるそうですので、今後今回のようなコラボ事例を作っていければと思います。

野村:コラボに関係なく、重要なのはいかにクラシルというブランドを多くの方に知ってもらい、使ってもらうかということです。そして、コンテンツホルダーにもメリットが提供できるようなコラボの仕組みを広げていきたいです。

 これまで、「動画でわかりやすい」という訴求軸でユーザー数を拡大してきましたが、今後はそれ以外の切り口も求められてきます。そこを、コラボはもちろん、プロダクトの開発を含めて考えていきたいです。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/31 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32175

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