LDHで、自分の「好き」を仕事にする楽しさを知った
――昨年、長瀬さんのLDH JAPAN(以下、LDH)への入社は大きな話題となりました。それから約1年、今回の発表で再度おどろかれた方も多いと思います。まず率直に、今回の決断の背景をお聞かせいただけますか?
「自分のブランド」を持ちたいと感じたのが一番の理由ですね。これまで様々な業界のマーケティングを歴任してきましたが、LDHでようやく自分の好きなカテゴリーの仕事に携わることができたと感じています。それ以前にはコスメやSNSの領域にいたわけですが、自分自身はコスメを使わないし、SNSも積極的に使うタイプではありません。キャリア的には順調にステップアップしている一方で、プライベートと仕事は別、と割り切った世界にいたんですね(参考記事)。
長瀬次英氏
1976年京都生まれ、中央大学卒。インスタグラム日本事業責任者を務めたのち、日本ロレアルで“日本初のCDO”として活躍。その後LDH JAPANに入社し、CDO 兼 執行役員として同社が抱えるビジネス全体のデジタルアクセレレーションを推進。2019年10月より現職。
LDHはファッションや飲食店、エンターテインメント事業など、自分自身がプライベートでも好きな領域の事業を多数手がけているので、非常に楽しく仕事ができましたね。「ターゲットユーザーに乗り移る」という工程を通らずとも顧客視点を持てましたから。
そんな折、すがけんさん(Moonshot 代表取締役 CEO 菅原 健一氏)とキャリアの話をする機会があって。そのなかで「やっぱり自分のブランドを持ちたいな」という感情が強くなっていきました。これまで様々なブランドの責任者を務めてきたわけですが、どこかで“自分のブランドではない”という気持ちがありました。LDHでの業務はすごく楽しくて好きだったのですが、もう一度「自分がやりたいこと」を見つめ直した結果、ブランドを立ち上げる、ないし携わることを考え始めました。
ブランドを立ち上げるなら、僕が大好きなファッション領域だろうなと考えていたとき、柴田陽子事務所代表の柴田さんとお会いする機会がありました。そのときファッションブランド「BORDERS at BALCONY(ボーダーズ アット バルコニー)」を紹介していただいたのですが、僕が理想として描いていたブランドイメージとほぼ合致していて驚きました。これこそ自分がやりたい仕事だと感じ、参画を決めました。
「BORDERS at BALCONY」ではCEO、つまりブランドのオーナーとなるわけですから、気持ち的にもこれまでとは少し違いますね。