広告で得られないようなエンゲージメントを獲得する
――企画作りでは、「余白」以外でどのようなポイントに留意しているのでしょうか。
ポイントはいくつかあります。重視しているのは、「新たなパートナー(投稿者)獲得に寄与できるか」「コンテンツを起点にコミュニティを形成できるか」などですね。逆に、割引などをフックにしたキャンペーンや、単に新商品情報を流すだけのような、エンゲージメントに寄与しない企画は絶対に立てないようにしています。
また「#社会人1年目の私へ」の企画では、投稿コンテストと併せてリアルイベントも開催しました。実際に社会人1年目の方たちを招待し、カツセマサヒコさんをはじめ、コンテストにご協力いただいたライターさんをゲストに、みんなでお酒を飲みながら話してもらう場を作ったのです。冒頭でもお伝えしたとおり、元々noteは「ファンを可視化し、よりつながりを深める」ために始めています。どのような方がファンになっていただいているのかを知り、直接交流するためにも、リアルイベントは必要だなと。
noteでは、広告で得られないようなエンゲージメントを獲得しようと考えています。「ファンを可視化し、つながりを深める」ことを目的にすると、成果を定量的に計測するのは難しいです。数字的な成果を出すためには、やはり広告運用するほうが効率的です。もちろん定量的な数字も大切ですが、noteの活動においては、投稿コンテンツの内容やTwitterでの言及内容など、エンゲージメントの深さを見るための定性的な情報を大事にしています。
ファンや関連企業とともに、ブランドを共創していく
――今後、noteアカウントはどのように活用していく予定でしょうか。
各ブランドから「noteで企画をやりたい」とリクエストを頂いているので、noteに合うブランドを選定して徐々に展開できればと考えています。「noteに合う」というのは、「キリンラガービール」や「本搾り」など、熱量の高いファンがいるブランドということですね。
また、他社とのコラボ企画も考えています。今進行しているのは、出版社のポプラ社さんのストーリー&エッセイマガジンの『asta』の人気連載「夜更けのおつまみ」との連動企画です。「夜更けのおつまみ」が文庫化されるということで、テーマ的に相性の良いキリンビールの公式noteで投稿コンテストを開催。入賞作品は文庫版の『夜更けのおつまみ』に掲載される、という内容です。
キリンビール公式noteは2019年4月に始まったばかりで、今はまだ小さい種です。でも、投稿コンテストでユーザーをどんどん巻き込んでいったり、親和性の高い他企業とコラボしたりすることで、どこまでも大きく育っていくのではないかと期待しています。
やはり、私たちだけではブランドを形成することはできません。周辺の皆さんと協力して、ともに創り上げていくのが理想ですね。そのためにも、ファンを可視化し、つながりを深めるための施策は重要だと思っています。
今回のポイントは……
- 広告で得られないようなエンゲージメントを獲得するためにnote公式アカウントを開設。
- ブランドを紹介するコンテンツと、ブランドには直接関係ない投稿コンテストを展開。
- 投稿コンテストでは、アクションの難易度ごとにユーザーを「パートナー」「サポーター」「ファン」の3つに分類している。