ブランドには直接関係ない 「投稿コンテスト」の意図
――noteの公式アカウントでは、「キリンラガービール」や「本搾り」など、人気ブランドを紹介するコンテンツと、ブランドには直接関係ない投稿コンテストの2つの企画が実施されていますよね。特に投稿コンテストはユニークな企画だと思うのですが、どのような意図があるのでしょうか。
おっしゃるとおり、投稿コンテストではキリンはおろか、ビールもお酒も関係ないテーマを出すこともあります。私たちは商品の広告・宣伝のためだけにnoteをやっているわけではありません。キリンのスタンスを理解していただき、共感していただくことが重要なんです。
初回に打ち出した「#社会人1年目の私へ」も、テーマにお酒は出てこないんですよね。これは「キリンは新社会人を応援しています」というメッセージを伝えるための企画で、当社の商品を売り込むことが目的ではなかったんです。
第二弾に出した「#あの夏に乾杯」はお酒が関係していますが、それもキリン製品を絡めているわけではありません。夏にビールやお酒の需要が高まるので、より盛り上げたいという意図はありました。ただ、お酒そのものの訴求よりも、お酒の周辺にあるエピソードを引き出したかったんです。
若い方って、楽しかった瞬間を撮影してSNSに投稿することはあっても、思い出を感情たっぷりに語ることってなかなかないですよね。だから、気兼ねなく語れる場を作って、みんなで共有してもらえるといいかなと。
投稿コンテストに関しては、アクションの難易度ごとにユーザーを「パートナー」「サポーター」「ファン」の3つに分類しています。パートナーとは、キリンのプロダクトやメッセージに共感し、note上で発信してくれる方。サポーターは、キリンやパートナーが発信したコンテンツに共感して、SNSなどで拡散していただける方を、ファンはコンテンツを楽しんでいただけている方を指します。
3つのユーザーすべてを増やしていきたいので、まずは入口となるファンを獲得したいですね。ファンからサポーターへ、サポーターからパートナーへ、どんどん引き上げていけるような流れを作れればと考えています。

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noteの施策では、あえて定性的な成果を重視する
――KPIはどのように設定しているのでしょうか?
定量的な目標として重視しているのは「コンテスト参加数」ですね。あとは、PVや「スキ」の数、自社関連発話量(キリンや投稿コンテストについて、Twitterでどれだけ言及されているか)を見ています。
「#あの夏に乾杯」コンテストでは、参加数が予想を遥かに上回りました。当初、目標参加数を500にしたのが、蓋を開けてみると4,000件も集まったんです。コンテストに参加する=コンテンツを投稿しなければいけないわけで、よほどエンゲージメントが高くないとアクションしてもらえません。それでもここまで投稿が集まったのは驚きましたね。
あと、これは定性的な部分なのですが、Twitterで一定数のユーザーから「お題が秀逸だ」との評価をいただけました。
私たちの場合は、商品を前面に押し出さず、シーンを限定しすぎない「余白のある企画」を意識しています。誰もが共感する、思い出のあるテーマ設定ができれば、共感の輪を広げられますよね。