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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

実践!マーケティングアカデミー

こんなとき、飲料メーカーのマーケターならどうする⁉

ブランドには直接関係ない 「投稿コンテスト」の意図

――noteの公式アカウントでは、「キリンラガービール」や「本搾り」など、人気ブランドを紹介するコンテンツと、ブランドには直接関係ない投稿コンテストの2つの企画が実施されていますよね。特に投稿コンテストはユニークな企画だと思うのですが、どのような意図があるのでしょうか。

 おっしゃるとおり、投稿コンテストではキリンはおろか、ビールもお酒も関係ないテーマを出すこともあります。私たちは商品の広告・宣伝のためだけにnoteをやっているわけではありません。キリンのスタンスを理解していただき、共感していただくことが重要なんです。

 初回に打ち出した「#社会人1年目の私へ」も、テーマにお酒は出てこないんですよね。これは「キリンは新社会人を応援しています」というメッセージを伝えるための企画で、当社の商品を売り込むことが目的ではなかったんです。

 第二弾に出した「#あの夏に乾杯」はお酒が関係していますが、それもキリン製品を絡めているわけではありません。夏にビールやお酒の需要が高まるので、より盛り上げたいという意図はありました。ただ、お酒そのものの訴求よりも、お酒の周辺にあるエピソードを引き出したかったんです。

 若い方って、楽しかった瞬間を撮影してSNSに投稿することはあっても、思い出を感情たっぷりに語ることってなかなかないですよね。だから、気兼ねなく語れる場を作って、みんなで共有してもらえるといいかなと。

 投稿コンテストに関しては、アクションの難易度ごとにユーザーを「パートナー」「サポーター」「ファン」の3つに分類しています。パートナーとは、キリンのプロダクトやメッセージに共感し、note上で発信してくれる方。サポーターは、キリンやパートナーが発信したコンテンツに共感して、SNSなどで拡散していただける方を、ファンはコンテンツを楽しんでいただけている方を指します。

 3つのユーザーすべてを増やしていきたいので、まずは入口となるファンを獲得したいですね。ファンからサポーターへ、サポーターからパートナーへ、どんどん引き上げていけるような流れを作れればと考えています。

ユーザーを「パートナー」「サポーター」「ファン」の3つに分類(タップで拡大)
ユーザーを「パートナー」「サポーター」「ファン」の3つに分類
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noteの施策では、あえて定性的な成果を重視する

――KPIはどのように設定しているのでしょうか?

 定量的な目標として重視しているのは「コンテスト参加数」ですね。あとは、PVや「スキ」の数、自社関連発話量(キリンや投稿コンテストについて、Twitterでどれだけ言及されているか)を見ています。

 「#あの夏に乾杯」コンテストでは、参加数が予想を遥かに上回りました。当初、目標参加数を500にしたのが、蓋を開けてみると4,000件も集まったんです。コンテストに参加する=コンテンツを投稿しなければいけないわけで、よほどエンゲージメントが高くないとアクションしてもらえません。それでもここまで投稿が集まったのは驚きましたね。

 あと、これは定性的な部分なのですが、Twitterで一定数のユーザーから「お題が秀逸だ」との評価をいただけました。

 私たちの場合は、商品を前面に押し出さず、シーンを限定しすぎない「余白のある企画」を意識しています。誰もが共感する、思い出のあるテーマ設定ができれば、共感の輪を広げられますよね。

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広告で得られないようなエンゲージメントを獲得する

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/25 15:00 https://markezine.jp/article/detail/32233

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