販促手法として無視できないSEM
しかし、この紹介文に問題はないでしょうか? 冒頭の「SEM」と検索するユーザーの属性について、検索数をもとに立てた仮説を思い出してみましょう。月間で18,000回近く検索が行われている「SEM」ですが、「インターネットの販促」をイメージして検索する人が6割、「基礎研究系」の事柄を思いながら検索する人が2割います。このような状況下で、図のような紹介文にしてしまったら、このサイトが一体どちらの内容を持っているのか、かいもく見当がつきません。すなわち電子顕微鏡云々のコンテンツを探して「SEM」を検索したユーザーが、「おっ。電子顕微鏡にまつわるデータ集があるのだな」と思って、ランキング部分の表示なり、広告部分の表示なりをクリックする可能性もありえると言えます。
この問題は、こと広告部分に関しては看過できません。なぜならば、検索結果画面に表示される広告は基本的にクリック課金型の料金体系が採られているため、自社サイトにとって、全く関係の無いユーザーのクリックを呼び込んでしまうと、サイトの中身はちっとも見てもらえないのに、むざむざコストが膨らむばかりとなります。そこで、たとえば「検索エンジン」という単語を紹介文の中に入れるなどして、無関係のユーザーからのクリックを予防する対策もできます。これが、クリエイティブ・コントロールの一例と言えます。これら、(A)から(C)に至る一連の内容を、合理的な方法でブラッシュアップをかけていくことが、SEM(検索エンジンマーケティング)なのです。
もちろん、以上の他にも、広告のリンク先ページをどう選択したら良いか、あるいは時間帯別に出稿内容を変えてみるなど、SEMではさまざまな施策や戦略を立てることもできます。SEMはバナー広告などと比べると、煩瑣な作業が多いのも事実です。しかし、キーワード戦略やクリエイティブなどを洗練させていけば、購買確度の高いユーザーを効果的に集めることができるのも、SEMならではの醍醐味です。実際、SEMの効果的な運用によって、売上げを飛躍的に伸ばしたという実例も存在しています。ちなみに、キーワードアドバイスツールで調べた「SEM」の検索数を、一年前と比べてみると次のようなグラフとなります。

販促手法としての有効性が認識され、SEMへの注目が高まり続けていることを如実にあらわすデータと言えるのではないでしょうか?
さて本連載は、このSEMについて取り上げていくわけですが、次第に「SEM」への取組みが一般化しつつある今日、少しでも他社と差別化できるような独自の視点と手法を紹介していければと思っています。全12回、聖賢諸氏のお付き合いをいただければ幸いです。