意思決定者のコミットメントが成功の鍵
――今回のプロジェクトを振り返って、感想をお聞かせください。
宮广:まず何よりも、新しい調査手法に取り組むことができたのはとても大きなことでした。社内で興味をもってもらえましたし、調査結果を商談にも活かすこともできています。
また、リニューアル後のユーザー数と購買数は、ともに増加しています。中味も変えているのですが、やはりパッケージの影響が大きいと思います。

――ニューロリサーチをマーケティングに取り入れる企業は、少しずつ増えていると思います。今回のお取り組みを振り返って、成功のポイントと、反対に課題となりそうな点があれば教えていただけますか。
宮广:ニューロリサーチに限らず、調査を行う際の一番のハードルは、データ分析のリードタイムがビジネスのスケジュール感と合わないことだと思います。今回はリニューアルのタイミングに間に合うよう、納品までのスケジュールを早めていただきました。
坂本:結果をお出しするまで、通常は2ヵ月から2ヵ月半ほどいただいています。今回はもう少し早くお出しできたのですが、ビジネスを行う企業様からすると「それでも遅い」というのが本音だと思います。この点は弊社としても検討していきたい大きな課題ですね。
――坂本さんは、ニューロリサーチのマーケティング活用を支援する立場として、どのように考えていますか。
坂本:理想を言えば、現場の方だけでなく、意思決定を行う方にもプロジェクトに参加していただくことが重要だと思います。今回は、ブランドマネージャーの宮广さんに積極的に関わっていただき、調査方法やデータの見方を理解していただいたことで、調査結果をビジネス上の意思決定に迅速に活かすことができました。
現場のマーケターが「おもしろそうな手法だ、予算にも合っている」と試してみても、いざ上司にその結果を報告すると、「なぜこのような結果が出るのか」と問われて、困ってしまうケースは少なくありません。ニューロリサーチはまだ完全に確立された手法ではありませんし、無意識の反応である生体データをまとめた結果だけを見せて納得してもらうことは、とても難しいのです。
宮广:そうですね。私も実験の流れを実際に体験させてもらえたのは良かったと思っています。結果だけでなく、そもそもどういう調査を行ったのか、ニューロリサーチを詳しく知らない社員に説明するのは難しいのですが、自分が体験した上で話すと、イメージしてもらいやすいようです。
坂本:ニューロリサーチを含めたマーケティング調査は、事業の成功の確率を上げたい、より良いものを作りたいという場合には、判断材料となる情報を増やし、次のアクションを決めるための手助けとなる手段です。
特に脳波をはじめとする生体情報を活用すると、今までは見ることのできなかったデータが得られます。新しいことに取り組んで勝っていきたいという企業にとっては、大きな武器になるはずです。
――マーケティングへの活用には、まだまだ大きな可能性がありそうですね。本日はありがとうございました。