BtoBコンテンツマーケティング、BtoCとの違いは何か?
バイヤーの若年化にともない、BtoB製品・サービスの購買意思決定もBtoCに近づくと見る向きもありますが、実際には決定的な違いがあります。BtoBのコンテンツマーケティング戦略や施策の検討前に、BtoCとの違いとして踏まえるべき3点を以下で紹介します。
1. ユーザーは専門家である
基本的に一般消費者が対象のBtoCビジネスのコンテンツマーケティングと比較して、BtoBビジネスのマーケティング対象はその業界や製品・サービスに精通した専門家である点が大きな違いの1つです。場合によっては、BtoBマーケターよりもバイヤー(購買担当者)のほうが製品・サービスの実利用経験も含め精通している可能性もあり、そういった専門家視点で満足・納得できるコンテンツの提供が必要です。
これはアメリカのBtoBコンテンツマーケティングでも大きな課題で、Forresterの調査でも6割前後のバイヤーが「ベンダーの提供する情報が多すぎる」と感じ、同時に「多くの情報が役立たない」と不足や不満を感じていることが明らかになっています。BtoBコンテンツマーケティングでは、コンテンツの受け手であるバイヤーの知識レベルや「購買意思決定にどんな情報が必要か?」を考慮することが重要です。

2. 購買意思決定がチーム(複数人)でなされる
BtoC向けの製品・サービスは比較的少人数で購買の意思決定がされるのに対し、BtoBでは導入意思決定に関わる人数は平均6.8名との調査結果もあります(参照:Harvard Business Review / The New Sales Imperative)。意思決定への関与人数の多さはBtoCマーケティングとの大きな違いで、初期の情報収集段階から最終意思決定まで長い時間を要する点も特徴です。購買側の意思決定に関与する社内ステークホルダーがどのような人々かは企業や業界により違うため、自社の製品・サービスの顧客がどのような決裁フローで意思決定する傾向にあるかなどのパターン化が重要です。
3. 画一的なコンテンツよりも、パーソナライズされた情報が必要
BtoBの購買担当者は、製品・サービスの導入事例や費用対効果などのコンテンツに興味はあるものの、本質的に知りたいのは“自社で導入した場合の”シナリオや費用など、パーソナライズされた情報です。導入フローやコスト、ROIは他社事例では役立たない場合が多いため、「自社の場合はどうか?」を知りたいバイヤーのニーズに応えるマーケティング施策が効果的です。
たとえば、オンラインで費用見積もりが可能なサービスの提供や、必要事項を入力すれば簡易にROIを算出できる機能の提供などで、BtoBコンテンツマーケティングに成功した事例がアメリカでは多数紹介されています。
このようにBtoBビジネスでのコンテンツマーケティングの成功事例は増えていますが、業界や製品・サービスが違えば成功事例が通用しないケースもあります。ただし成功しているBtoB企業の共通点に着目すると、自社のコンテンツマーケティングが対象とする「購買担当者のインサイト」や、顧客社内の決裁フローも含めた「購買プロセス」を十分把握できており、これが成功の秘訣と言えそうです。
では、BtoBビジネスにおいて、コンテンツマーケティングに取り組みたいと考えたとき、何から始めればよいのでしょうか? 次ページでは「バイヤー・ペルソナ」や「バイヤーズ・ジャーニー」をキーワードに、BtoBコンテンツマーケティングの最初に必要なステップを紹介します。