WPPグループ(以下、WPP)とそのグループ企業であるKantar(カンター)は、世界におけるブランド価値を計る年次調査「ブランドZ 世界で最も価値のある日本ブランドランキング 2020」を発表した。
1位はトヨタ NTT、ホンダが続く
1位を獲得したのはブランド価値総額289億ドルのトヨタで、NTT(201億ドル)、ホンダ(117億ドル)と続いた。トップ15は以下の通り。
ブランドZ調査(以下、ブランドZ)は、財務データの分析と消費者調査結果を組み合わせ、ブランドが企業にもたらす価値を評価している。日本の消費者ブランドランキングにおけるトップ50ブランドの価値総額は2,230億ドルを上回っており、これはブランドZの調査対象国全体でみると6位にあたる(日本よりも上位にランクされている国は、米国、中国、ドイツ、フランス、英国)。
なお今回は、40市場カテゴリーの調査を実施した。カテゴリー別で見ると、自動車カテゴリーはトヨタとホンダが主導しており、トップ50ブランドの中で、最も価値のあるカテゴリーとなった。今回ランクインした自動車6ブランドが、ランキング総額の25%(547億ドル)を占めている。このうち、トヨタ、ホンダ、日産(5位、105億ドル)の3ブランドは、「世界で最も価値のある自動車ブランドランキング」でもトップ10にランクインしている。特に、自動車製造企業からモビリティ企業へとその形を変化させてきたトヨタは、明確な目的意識を持ち、良質なブランド体験を提供してくれる、非常に革新的なブランドとして消費者に認知されている。
日本市場では小売ブランドが台頭
小売およびアパレルカテゴリーでは、ランキングトップ50にカテゴリー別最多の13ブランドがランクインしており、そのブランド価値の総額は全体の18%(397億ドル)を占めている。この中には、フリマアプリで知られる、メルカリ(47位、7億6,100万ドル)やファッション通販サイトのZOZOTOWN(16位、45億ドル)のように、不況時代に育った多くの若年消費者にみられる慎重な消費スタイルに代表される、倹約・節約といった消費者トレンドへの転換に適応してきたブランドもみられる。
一方、実店舗を持つ従来型の小売ブランドでは、新たな戦略や新たな小売形態の開発が進められている。ミニマリストスタイルのホテルを商標登録した無印良品(32位、18億ドル)、温度調整と着心地のよさを実現するベーシックな衣料品ラインアップを持ち合わせながら、ポップカルチャーとのコラボレーションとウェアラブルテクノロジーを組み合わせるユニクロ(7位、98億ドル)、そして自転車シェアリングサービスや宅配ロッカー、自社ブランド自販機の設置を進めるセブン-イレブン(8位、89億ドル)などは、消費者がブランドに対して感じる関連性や意義性を維持していく上で、日本の小売ブランドがどのように適応しているのかを示すいくつかの例といえる。
強い目的意識が評価される
ブランドZのランキング調査対象国16ヵ国のうち、最も価値のある日本ブランドとなったのは、その目的意識、つまり「そのブランドが生活をよくしてくれると消費者が感じる度合い」において最も高いスコアを示したブランドであった。トップ30にランクインしたブランド全体の目的意識に関するスコアは124(トップ100にラインクインした全企業の平均スコアは100)であるのに対し、最も目的意識が高い日本ブランドとなったヤマト運輸(24位、27億ドル)のスコアは159だった。その他にも、トヨタが154、全日本空輸(26位、26億ドル)が153、セブン-イレブンが150、ブリヂストン(36位、15億ドル)が149と、いずれも高スコアを獲得している。
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