データを施策に結びつけやすいのが強み
――GMPとGCPを組み合わせることで得られるメリットを具体的に教えてください。
高野:GMPとGCPの強みは、データ活用の「出口」があるという点でしょう。データを貯める箱はあっても、データを施策につなげる部分が作れていないという状況に陥りやすいのですが、GMPとGCPの場合はGoogle 広告やDisplay&Video 360などの広告プラットフォーム、オウンドメディア最適化のOptimize 360など施策系のソリューションと連携しているので安心して取り組めると思います。
データ基盤構築で一番難しい点は各種のデータをつなぐこと(データパイプライン構築)ですが、4月に米国サンフランシスコで行われたGoogle Cloud Next '19においてCloud Data Fusion(2019年11月時点ではベータ版)が発表され、GCP以外の各種外部サービスとBigQueryなどは、コードを書くことなくGUI上で連携できるようになり、非エンジニアでもデータパイプライン構築ができるようになってきているのもマーケティング担当者にとって朗報なのではないでしょうか。
滝口:GCPは機械学習の機能も備えているので、膨大なデータから最適なセグメントを抽出できます。抽出したセグメントに対し最適な広告を配信したり、Optimizeを使ってパーソナライズしたコンテンツを表示できるのも魅力と言えるでしょう。
自動車会社とアパレル企業の事例
――GMPとGCPで構築したOMOプラットフォームの事例は出てきているのでしょうか。
滝口:大手自動車会社様では、オンライン上での広告クリック、資料請求や試乗予約などといったWebでのCVデータをベースにした広告のリターゲティングを実施しており、来店までの送客効果はある程度見込めていたものの、送客したユーザーが契約に至ったかどうかはわからないという課題がありました。
そこでGCPに格納した来店や契約などオフラインのコンバージョンデータをGMPに連携し、オンライン施策がどれだけ店舗売り上げに寄与しているのかをデータポータルで可視化しました。さらには、店舗での契約につながりやすいユーザーセグメントをGCPの機械学習機能で作成し、類似ユーザーに対して広告配信することで、オフラインCVRが向上した実績もあります。
また、別のアパレル企業様では、GCPに収めたオフラインとオンラインの顧客行動データ・購買データを分析し、機械学習機能を利用してLTVが高いセグメントと低いセグメントを作成して、GA 360のリマーケティングリストと連携させて広告を出し分けることで、ロイヤルティの高い顧客の満足度を高めるとともに広告の費用対効果を改善しました。
――こうした事業会社のOMOプラットフォーム構築にあたって、電通デジタルではどのようなチーム構成、体制で支援しているのでしょうか?
滝口:支援にあたっては、マーケティング施策のプランニング、プラットフォームの設計・実装、施策の運用・改善支援といった各領域のスペシャリストかつGoogleやSalesforceの各種ソリューションへの深い定見を持ち合わせたメンバーをアサインし、プロジェクトチームを構成します。広告からCRMまでワンストップで提供できる電通デジタルの強みを活かして、オン×オフデータの統合によるLTV最大化に貢献していきたいと思います。
※Google Cloud Platform、GCP、BigQuery および Firebase は Google LLC の商標です。