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湯川鶴章の先端ネットマーケティング通信

デジタルサイネージエキスポレポート vol.4


技術革新で広告業界はどう変わるのか?

 ─話を少し一般的にしましょう。技術革新で広告業界はどう変わるのでしょうか。

 わたしは広告会社の系列会社の人間なので、広告会社がなくなるとは言えません(笑)。でも業務内容は劇的に変わるでしょうね。少なくとも広告配信業務の多くはテクノロジーに取って代わられるでしょう。ほとんどの広告配信、設置業務は自動化できるようになると思います。

 それとWeb上の各種技術が、小売業の領域に入ってくるでしょう。特定の地域である種のキーワードが特に多く検索され始めたとします。例えばラスベガス地域でどういうわけか「ピザ」というキーワードを検索する人が増えたとします。それなら、ピザの広告がスーパーマーケット内のデジタルサイネージに自動的に表示されればピザの売り上げが伸びるかもしれません。検索キーワードに連動して店頭のデジタルサイネージに関連する広告が表示されるようにするわけです。

 ─広告会社や広告主に分かる指標や測定方法をデジタルサイネージの分野でも採用すべきだという意見がありますが

 確かにCPMなどの指標をデジタルサイネージにも用いると、広告主は他の媒体と簡単に比較できていいでしょう。デジタルサイネージ、テレビ、WebサイトをすべてCPMで比較して、どの媒体に幾ら予算を投入すべきか総合的に判断できるというメリットがあります。

 でも店頭のデジタルサイネージは、売上高を見ることで広告効果をすぐに把握できます。1日の終わりに広告と売上高の相関関係を傾向として把握するのではなく、相関関係をリアルタイムで把握できます。

ですから1日の途中でも、効果がない広告はすぐに別の広告と変更することが可能なんです。リアルな店舗での売り上げという究極の形のパーフォーマンスペースの広告なんです。Web広告のおかげで、広告主はパフォーマンスベースの指標に慣れてきていますし、インプレッションではなくパフォーマンスを要求するようにもなってきています。長い目でみれば、業界全体がパフォーマンスベースの広告の方向に動いていくのだと思います。

デジタルサイネージの可能性

 ─デジタルサイネージはどれくらい大きな市場になるのでしょうか

 今、業界はデジタルサイネージ専門の広告ネットワーク会社が群雄割拠している状態です。ウォルマートの店頭のデジタルサイネージのネットワークを持っているトムソン傘下のPRN社や、デジタルサイネージの広告ネットワーク会社をアグリゲートしているseesaw netwokという会社などが大手ですが、このほかにも小さな広告ネットワークの会社が山のようにあります。これらのプレーヤー間での標準化が進まない限り、急成長することはないと思います。余りにも分断されていて、大手広告主や大手代理店にとって取り扱いづらい広告商品になっているからです。

 一方でWebの領域で、Web2.0の「共有」の考えが広まっています。独自のソフトウエアで顧客を囲い込むことよりも共有できる部分は共有したほうが、全体にとってだけではなく、個々のプレーヤーにとってもメリットが大きいというこをだれもが認識するようになってきたわけです。この考えはいずれデジタルサイネージの領域にも広がるのだと思います。

 恐らく大きな機器メーカーがデジタルサイネージ機器のハードやソフトのAPIを公開するのではないでしょうか。もしくはモバイルの分野でグーグルが標準化に動き出したように、デジタルサイネージの領域でもグーグルが標準化を提唱するかもしれません。

 ースクリーンに実際に触れなくても、スクリーンの手前で手を振るだけで画面を操作できるような新しい技術も登場していますが、こうした技術はどう思われますか?

 確かに面白いし、少なくとも一時的には消費者の関心を引くと思います。でも目新しいものは、いずれ飽きられるでしょう。

インタビューの続きはこちらかどうぞ!

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この記事の著者

湯川 鶴章(ユカワ ツルアキ)

米国放浪中に新聞少年のような仕事につき、気がつけば報道の世界に入っていた変り種。シリコンバレーの黎明期からIT産業を中心に取材をし、2000年5月に帰国。現在、時事通信社編集委員。それでもってブロガーであり、ポッドキャスター。性格は極めて優柔不断だが、結構まじめ。謙虚だが思い上がるところもある。主な著書に「爆発する...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/04/10 16:49 https://markezine.jp/article/detail/3240

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