マーケティングからリサーチまで、各社で進むRPAの活用状況
藤田:先ほど会場にアンケートをとったところ、2割ぐらいの企業でRPAを使っているということでした。登壇者の皆さんはどのようにRPAを活用していらっしゃいますか。まずはRPAをコアビジネスにしているBizteXの嶋田さんからお願いします。
嶋田:当社では、マーケティングと競合調査に使っています。現在、社員と業務委託、アルバイトまで合わせて40人ぐらいなのですが、この規模でもRPAロボットに20ほどのタスクを任せています。
たとえば企業の上場情報が掲載されているサイトをロボットで監視しており、新しい企業が上場した際にロボットで検出し、メールで通知する仕組みを作りました。「上場ニュース」が自動的に配信されてくるようなイメージです。
また、競合企業の情報収集についてもロボットを活用しています。新しいプレスリリースが出ていたら情報を取得して、スプレッドシートに入力し、グラフを作成して、Slackに通知を行う仕組みがあります。市場動向の収集からレポーティングまで自動化することで、人はよりコアな業務へ時間を使えるようになりました。
藤田:今までならインターン生やアルバイトの方のタスクになりがちだったことを、自動化されているわけですね。
嶋田:そうです、むしろインターン生には、そのRPAを扱ってタスクを作成する部分を任せています。するとインターン生に単純作業をしてもらう必要がなくなり、彼らまでクリエイティブな仕事に打ち込めるようになりました。
與島:当社の場合は転職サイトの「ビズリーチ」を運営する事業だけでも、オペレーション業務が多数あります。そのなかでも「求人の審査」というタスクをRPAで行っています。
平井:リサーチ業務など、インターネットから情報を取ってくるような仕事は、RPAと相性が良いですよね。RPAのスピードは桁違いに速いと思います。

RPAで事足りる仕事と、人しかできない仕事の違い
藤田: RPAとランサーズで仕事をするランサーさん(フリーランス)の、仕事はカニバるのでしょうか?
平井:そうですね、以前はかぶるところもありました。ただ、そういうタスクは単純作業が多くて、そこはもうRPAに代わりつつありますね。むしろ、それによって逆にフリーランスにしかできないことも、正社員にしかできないことも明確にわかってきました。
たとえば会社のビジョン実現や意思決定は、正社員にしかできません。フリーランスはアドバイザーにはなれるかもしれませんが、実際に意思決定をする立場にはなれません。
嶋田:そこは僕も同感です。正社員は会社の事業に共感してくれて、一生懸命その会社の事業にコミットメントしてくれる人たちです。とはいえ正社員を採用するのは時間もコストもかかります。ならば早く立ち上げたい業務は、スキルの高い業務委託やフリーランスにとにかく早く来てもらって、爆速でやってもらう。そして単純作業の一部にRPAを使う。
そんな風にこの3種類を組み合わせて、どうすればいち早く事業を進められるのかを考えると良いのではないかと思います。
與島:正社員を採用するということは、当社のCMの通り(笑)「即戦力だから」ですよね。採用ってよく「同じ船に乗せるかどうか」っていうじゃないですか。正社員は、この「同じ船に乗る人たち」です。一方で、フリーランスは「航海の途中に寄った島で何かを手伝ってくれる人」、RPAは「船にエンジンをつけて、人力から自動化してくれるもの」です。そうとらえて、この3つを流動的に組み合わせるのがいいかなと考えています。