雑多なタスクを分解、整理するスキルが必要
藤田:そこで気になるのが、RPAや外部人材といった社外のリソースをうまく使いこなす上で、どのようなスキルが必要なのかということです。
嶋田:これは経営においてヒューマンリソースをどうとらえるかという話に直結していると思っています。今までは会社に転がっているあらゆる仕事をとにかく「正社員」でさばいていました。けれどそこを分解して、事業へのコミットや戦略といったコアの部分は正社員、とにかく業務を垂直立ち上げしたい時にはフリーランス、単純作業はRPA、という風に、誰がどこまでやるのかを整理し直すスキルが必要だと思います。
平井:今回は割愛させていただきますが、実はフリーランスの活躍は新規事業立ち上げなど幅広くなっています。業務整理に関してはその通りで、外部リソースに依頼できる状態にするためには、タスクの分解や業務整理がかなり必要です。私たちもクライアントさんにフリーランスのご提案をさせていただくのですが、出したい業務はあっても、出すための準備ができていないという企業が多く、そこに時間がかかるのがネックになっています。特に大手企業には、個人情報や重要機密などの観点から、どうしても外部に出せない仕事があるのは仕方ないと思います。
藤田:そう考えると、RPAツールやMAツールなど次々と出てくる最新のツールを使いこなすためには、社内にあふれる様々な業務を整理して、意味づけする力、どのタスクはどんなサービス・人・ツールに任せるのが適切なのかと瞬時に判断する力、決断力、そしてそもそもこうしたツールを縦横無尽に使いこなせる力が必要だということですね。

藤田:最後に、これは究極の質問なのですが、最近「AI人材」という言葉がよく聞かれるようになってきました。「AIに仕事を奪われる」とか「RPAが拡大したら人間はいらなくなる」という話も聞きます。これは本当のことなのでしょうか。
嶋田:ひと言で言うと、僕はRPAに人の仕事は奪えないと思っています。自分たちが能動的にテクノロジーを使おうとするマインドで取り組めば、コアな仕事はそのまま人間が手掛けながら、無駄な仕事を手離れさせることができるようになります。むしろコアな仕事をドライブさせることができる。人とテクノロジーが共存しながら両方進化していける時代がくると思っています。
それからRPAはこの2年ほどで急拡大した分野なので、RPAを使いこなせるスキルのある正社員が欲しいというニーズをよく聞くようになりました。新しいテクノロジーの普及によって人がいらなくなるわけではなく、そのツールに指示を出したり、使いこなすスキルを持つ人が新たに必要になるということです。これはRPAのみならず、より種類が豊富で機能が多岐にわたるMAツールでも同様です
與島:結局、雇用形態が問題なのではなくて、「株式会社日本」という会社の中で、自分自身で主体的にキャリアをつくっていくことが大切なんだと思います。僕自身も一生ビズリーチにいるかはわかりません。どこかに従属するという話ではなく、個人が活躍しやすい社会をつくるということが大切なんじゃないかなと思います。