SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

ソーシャルネイティブ、「Z世代の本音」を探る

Z世代=「若者」とひと括りにしていませんか? 4タイプの特性とソーシャル利用を解説


マーケティング視点で捉える、4タイプの特性

外交的なリーダータイプ、人生ガチ勢

 このタイプの若者は、自己成長に関する意欲が強い。そのため、将来を見据えたリアルな人脈づくりに興味を持ち、Facebookを通じて社会人とつながる傾向が強い。上下関係や飲み会を肯定的に捉えるなど価値観が社会人に近く、理解しやすいZ世代のため、就活での人気が集中する。Facebookやリアルイベントなどで彼らの成長を支援することが、このタイプとエンゲージメントを深める近道だ。ただし仲間内で常に情報交換しているので、企業が囲い込む感覚を見せたり、精神論で圧迫したりすると、すぐに見切られてしまうだろう。グループ内のリーダー的存在で、リアルな世界においてインフルエンサーであることが多い。

クールなミニマリスト、省エネペシミスト

 このタイプの若者は、他のタイプと比較して他人の視線をさほど気にせず、クールに振る舞う傾向が強い。一方で社会派の側面があるので環境問題などにも関心を持つ。そのためか、消費することに積極的ではなく、ミニマリストでシェア志向が強い。商品の新しさにも鈍感なために、レイト・マジョリティないしラガード的な消費者になることが多い。消費において、多様な選択肢を面倒と感じる傾向が強いので、ユニクロやジーユーのような安価な定番商品や、コストパフォーマンスの高い「サブスク・サービス」などにおいては、初期採用者になる可能性がある

オンラインのインフルエンサー、ソーシャルよいこ

 このタイプの若者は、ソーシャルメディアにおけるインフルエンサーになりえる存在で、仲間内でしか日常をシェアしたくない他の3タイプとは異なり、投稿もパブリック志向である。また、最新のトレンドや非日常的な体験を求める傾向が強く、買い物も大好きである。インスタ消費、インスタグラマー、ユーチューバーなどは、このカテゴリーの若者である

 ソーシャルよいこは、友人だけでなく企業アカウントも積極的にフォローし、最新トレンドをキャッチしている。趣向は人によるが、チームdot内でのヒアリングでは、ファッションブランドや雑誌、コスメブランド、好きなタレントやアーティストなどが多い。ハッシュタグフォローも活用して情報収集している子も多い。

ソーシャルよいこがフォローする企業アカウントとハッシュタグ例
ソーシャルよいこがフォローする企業アカウントとハッシュタグ例

 スクショを提供してもらったえっちょの場合は、カフェが好きなので「#純喫茶」「#カフェ巡り」をフォローし、可愛いお店があるとメモしてお出かけの参考にするとのこと。カフェの雰囲気を見るのにインスタ検索もよく使うそうだ。食べログや公式ページだとわからない、リアルで生な雰囲気を知りたいからだ

 他のソーシャルよいこ曰く、ハッシュタグでは、たとえば「#韓国輸入品」(「#韓国」だと観光スポットまでできてしまう)など「流行が変わりやすい、ニッチなトレンド」をフォローする傾向にある。インスタ検索は、飲食店以外でも、ヘアアレンジ、ネイル、ファッション、コスメ、スイーツ、インテリア、好きなタレントなどを探すことが多い。また、Instagramでも複数アカウントの使い分けは進んでおり、チームdotにも5つのアカウントを器用に使いこなして服を買う大学一年の女子がいたりする

 彼女たちの典型的な投稿行動は、(1)Interest(友人の映え写真を見つけて)(2)Search(ソーシャルで検索し)(3)Desire(そこにいる私を友人に見せたくなり)(4)Action(そこに行って消費する)という流れがあり、イノベーションチームdotではこれを「InSDA (インスダ)」と表現している。

ソーシャルよいこのインスタ消費「InSDA」
ソーシャルよいこのインスタ消費「InSDA」

かくれたサイレント・マジョリティ、様子見フォロワー

 他人の目を気にして控えめだが、実はきちんと意見は持っている。普通に買い物は好きだし、ソーシャルメディアも活用するが、自分を表に出すことを嫌い、親しい友人間で密に情報共有することを好む。リスクに敏感で、悪目立ちや対立を避ける傾向が非常に強いために、本音をつかみにくい。

 ポール・アダムスは、著書『ウェブはグループで進化する』(日経BP)において、インフルエンサーには二通りあるとした。つながりが多く心理的ハードルが低い「イノベーター・ハブ」と、つながりが多く心理的ハードルの高い「フォロワー・ハブ」である。この「フォロワー・ハブ」にあたる「仲間内のインフルエンサー」は、このタイプの中に(目立たずに)存在することが多く、彼ら彼女らが本格的に使い始めると口コミで大ヒットにつながるのではないかと推測される

4タイプに相当する「側面」を意識したコミュニケーションが大事

 なお、この記事では、Z世代の4つのタイプに関する仮説を述べたが、チームdotの学生にヒアリングすると、たとえば「ソーシャルよいこ」と「様子見フォロアー」の両方に共感するという学生も多いし、昔は「ソーシャルよいこ」だったが、今は「人生ガチ勢」だという学生も珍しくない。そのコミュニティの特性(ソーシャルキャピタル)にも大きく影響される。

したがって、

・実際には複数の特性を兼ね備える人も多く、典型的なタイプばかりでないこと
・人間は成長する。様々な人生経験を積み、タイプは変わってゆくこと
・コミュニティの影響も大きく、その文化に左右されてタイプは変わること

であることを前提として考えたほうがよい。

 一人がひとつのアカウントだけを使っているわけではないし、ひとつのアカウントがひとつの特性とも言えない。個々人やアカウントを「4タイプのいずれか」と決めつけるのではなく、その人の中にある「4タイプに相当する側面」を意識し、その特性にあわせて丁寧にコミュニケーションすることが大切なのではないだろうか。

調査概要

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
ソーシャルネイティブ、「Z世代の本音」を探る連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

斉藤 徹(サイトウ トオル)

株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表
学習院大学 特別客員教授/イノベーションチームdot アドバイザー

ソーシャルシフト提唱者として、透明な時代におけるビジネス改革を企業に提言する。2016年から学習院大学特別客員教授に就任。Z世代の学生とともに、革新的な学生組織「イノベーションチームdot」<...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2020/10/04 23:41 https://markezine.jp/article/detail/32511

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング