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アドテック東京 2019

『東京ラブストーリー』より『君の名は。』に共感する私たち/U30が語る、シェアしたくなるコンテンツ

切っても切り離せない、言葉とコンテンツの関係

 続いて話題に上がったのは、言葉とコンテンツの関係性。愛されるコンテンツに欠かせない条件の1つが、その名前が言葉として広まり、定着していくことである。そこで参考になるのが「エモい」という言葉だ。

 ツイート量の分析によると、2018年の8月に最初のピークが発生。この時期に言葉の定義についてディスカッションが起こり、その結果、ある程度の共通理解が生まれ、広く使われる言葉になった。

 河田氏が「エモい」に見出しているのは、この言葉を使った時に生じる仲間意識だ。

 「土手があって夕日が沈んでいく。その中をみんなで走っていく光景は、私たち世代にとっては、エモい。でも今の中学生にとっては『だるいわー』と言われてしまいそう。同じコンテンツを見て、エモいと共感し合うことで、仲間意識が生まれるのだと思います」(河田氏)

 また、登壇者たちがクリエイティブ制作で言葉を用いる際、意識している点についても紹介された。

動詞になるものは強い。「タピる」など。商品のネーミングを考える時には、ハッシュタグ化しやすいか、口にすると気分が上がるかを考える(河田氏)
・ネーミングの段階からシェアされるイメージがもてるかどうか。略しやすいことも重要で、4文字系は定着しやすい(玉井氏)

スキップされない広告は、オーガニック投稿に馴染んでいる

 愛されるコンテンツに欠かせない条件を整理したところで、話題は広告クリエイティブの制作戦略に移された。中村氏が提起したのは、企業のメッセージを自然なかたちで若年層に伝える難しさだ。

 「若年層はいわゆる“企業臭”、“広告臭”にとても敏感で、自分たちの居場所に大人たちが入ってきた瞬間に醒めてしまう。プラットフォームでも、大人が集まり始めるとその場所からいなくなってしまう現象が起きています」(中村氏)

 この課題に対し河田氏は、自身が手掛けたb-monsterのInstagramストーリーズ広告を紹介。オーガニック投稿に馴染むクリエイティブになるよう、工夫を重ねたそうだ。

b-monsterのInstagramストーリーズ広告

 「ストーリーズでは、芸能人などの“友達以外の知っている人”が出ると、『これ、広告だよね』とスキップされてしまう。そのため女優さんには『こんな友達いたかな? 有名人?』という絶妙なポジションをとってもらいました。画質もあえて粗いものにするために、私のスマホで撮影しています」(河田氏)

 他にも、ユーザーの関心を一瞬で捉えることを重視し、自分の画面が割れた感覚がするような仕掛けを採用。こうしたアイデアを生み出すコツは、「代理店の人間としてではなく、1人の生活者としてInstagramを楽しむ時間を作ること」と、河田氏。

 加えて福間氏も、生活者目線の重要性に改めて言及した。

「高校生に刺さるコンテンツは、当然高校生のほうがよく知っています。それを理解するためには、当事者に聞くか、自分で体験してみる。良いコンテンツを作るためには『遊ぶ』ことが一番大切だと思っています」(福間氏)

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広告とバレても構わない「逆張り戦略」も

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/12 07:00 https://markezine.jp/article/detail/32521

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