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アドテック東京 2019

PR=“パブリシティ獲得活動”ではない/マーケティングの要を握る「PR」の本質とは?

 従来ながらの広告や販促手法が効きにくくなったと言われる今、PR(パブリックリレーションズ)の意義が増している。11月27日、28日に開催された「アドテック東京2019」公式セッションのひとつに「PRとコミュニケーションの本質」というテーマが設定されたのも、その表れと言えるだろう。ブランド、コーポレート、そしてエージェンシーの異なる立場から、PRが担う合意形成とマーケティングへの寄与の可能性が存分に語られた。

PR≠パブリシティ獲得活動

 本セッションではベクトルグループのNewsTVにて代表を務める杉浦健太氏をモデレーターに、ブランド側からは、花王でスキンケアブランド「キュレル」のマーケティングに携わる廣澤祐氏。コーポレートPRの視点からは、「earth music&ecology」など約30のブランドを擁するストライプインターナショナルでPRを統括する石渡佑矢氏。そしてエージェンシーから、10月に博報堂ケトル共同代表に就任した太田郁子氏が登壇した。

(写真左から)株式会社NewsTV 代表取締役社長 杉浦健太氏/花王株式会社 コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部 廣澤 祐氏/株式会社ストライプインターナショナル パブリックリレーションズ本部長 石渡佑矢 氏/株式会社博報堂ケトル 代表取締役社長 共同CEO PRディレクター・ストラテジックプランニングディレクター 太田郁子氏
(写真左から)NewsTV 代表取締役 杉浦健太氏
花王 コンシューマープロダクツ事業部門 キュレル事業部 廣澤祐氏
ストライプインターナショナル パブリックリレーションズ本部長 石渡佑矢氏
博報堂ケトル 代表取締役社長 共同CEO PRディレクター・ストラテジックプランニングディレクター 太田郁子氏

 今回のテーマ「PRとコミュニケーションの本質」は、アドテックのアドバイザリーボードメンバーの議論から設定されたもの。これに対して4者とも「大きなテーマだが、それだけマーケティング領域からPRに注目が集まっている表れでは」と話す。とはいえ、そもそもPR、パブリックリレーションズ自体の定義や理解も様々だ。また、日本では長らくPR領域においてメディアリレーションズの活動が主であったため、リリースや記者発表でマスコミのパブリシティを獲得する活動がPRだと誤解されている向きもいまだにある

 そうではない、パブリック=「社会」と関係を築くという本来のPRの現在地、そしてマーケティングと連携する可能性はどこにあるのだろうか。杉浦氏の「広報と広聴はセット」との考えで、今回は4名から本セッションに興味がある人に対してアドテックのセッション紹介ページを介してアンケートを実施し、事前に期待する内容や質問を募ったという。これは来場者を交えて考えていくことを意図したもの。セッションは、このアンケートで集まった質問を切り口に展開された。

ブランドや経営者がSNSを使うのは有効か?

 最初の問いは、「企業・ブランドとして、SNSで直接コミュニケーションすることにどう取り組んでいるか? またそのメリットは?」。主にSNSの登場によって、企業はメディアを介さずとも消費者と直接つながることが可能になった。「スマートフォンの普及もあって、情報流通の構造が大きく変わっている」と杉浦氏。だが、SNSは自由度が高いだけに、企業のスタンスによって運用の効果やユーザーとのかかわりは様々だ。

 たとえば「キュレル」ではTwitterを使っているが、誰か一人が担当者となり特定の人格をもって顧客と会話するというより、キャンペーンや情報発信として活用している

 「ご質問を見ると、見ている方向は“消費者だけ”ですよね。PRの一般的な定義は『社会との関係構築』ですが、では『社会』とは何か? と考えると、それは消費者だけではもちろんありません。経営者にとっては当然、投資家なども含まれてきます。この前提でSNS発信を考えると、企業やブランドが主体か、それとも経営者が発信するのかで、意識すべきステークホルダーは変わります。まずそこを区分けすることが重要なのではないでしょうか」(廣澤氏)

 一方ストライプインターナショナルでは、石川康晴社長が個人名義でTwitterを利用しているという。

 「石川は、先ほども話に上った“広聴”を重視しています。お客様から不平や不満がダイレクトメッセージで届くこともあり、そうした際にはすぐに担当部署へ連絡が入ります。企業においては“組織のどこかで情報が止まる”というケースもあります。弊社では、代表自身が直接広聴する方法のひとつとしてSNSを活用しています」(石渡氏)

 経営者の発信について、太田氏は「スペックではなく、思想や理念への共感から商品やサービスを選ぶ人が増えている今、その点でも有効だと思う」と見解を述べる。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32582

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