「何を伝えたいか」よりも「誰に伝えたいか」
「KDDIのBtoBチームが明かすDigital Marketing戦略とその実践」に登壇した森本氏は、2015年にKDDIに転職し、BtoBのデジタルマーケティングチームを率いてきた人物だ。本セッションでは、森本氏が4年間かけて行ってきたABMの体制作りについて、ポイントが明かされた。
KDDIでは、米国を中心にABMの考え方が盛り上がっていたタイミングで、いち早く積極的に取り組むことを決めていた。特にターゲットとなる企業数が限られているBtoBマーケティングの場合、「何を伝えたいか」以上に「誰に伝えたいか」が重要になると考えていたからだ。
従業員500名以上の企業は、国内にある約300万社の企業のうちほんの0.25%、すなわち7,000社ほどと少数だ(東京商工リサーチ「Worldbase 1784byte+J」国内Active全件より集計)。やみくもに施策を実行し、そうした企業に到達することを期待するだけでは、コストの無駄遣いになってしまう。これが、BtoB企業がABMに取り組むべき大きな理由だ。
ターゲットのCPAのみにフォーカスする
KDDIでは、自社の保有するユーザーデータすべてに対するCPAを見るのではなく、アプローチしたいターゲット企業に属するユーザーのみのCPAにフォーカスした「ECPA(Effective Cost Per Acquisition)」をKPIにしている。
「ECPAとはつまり『優良な見込み客』からのコンバージョンということです。ターゲット企業を選定し、ECPAの数値をうまく導き出せるなら、そこから逆算して最初から優良な見込み客だけを狙ってマーケティングを行うことができます」(森本氏)
たとえば企業選定の軸として1. 従業員数500名以上、2. 本社・支社数が10拠点以上、3. 決算ベースの売り上げが100億円以上という3つのターゲティングでアカウント選定を実施。その上で、この3種類の企業群のうち、2つ以上の条件を満たす企業に対して優先的にアプローチを行っていく。