見込客の継続的な増やし方と育て方
事例3:「not今すぐ客」の興味関心を促す方法
そして3つ目は、「not今すぐ客」に対して興味関心を促したいという課題を解決した事例だ。重要なのは、まだ製品にそこまで興味がない見込客に、いきなり製品情報をアピールしないこと。それは対面営業でも同様だろう。ニーズがあるかわからない見込客に対して、いきなりパンフレットを出して製品説明をしても、耳を傾けてもらえない。そこで、下記のように段階を踏んで情報を伝えていくことで、効果を上げたという。
(0)世の中のトレンドを伝える
(1)あなたの悩みを解決するにはMAツールというものがある
(2)なぜ今、MAツールが重要だと言われているのか
(3)中でも、なぜ「SATORI」なのか
オフラインの「not今すぐ客」には、大人数で行われるデジタルマーケティングの共催セミナーに参加してもらい、その後少人数の単独セミナーへと誘導している。共催セミナーではMAツールの重要性について伝えるにとどめ、単独セミナーになるとようやく「SATORI」についてとことん伝えるようにしている。こうした「そのうち客向け」セミナー施策の副次的メリットとしては、見込客とのコンタクト数を考えたときに、営業担当が一人で地道に伝えるよりも11倍の見込客に有効性を伝えられることだと豊川氏はいう。
一方、オンラインの「not今すぐ客」には、オウンドメディアやリターゲティング記事広告の配信によって、認知から興味喚起へナーチャリングすることに成功した。
事例4:継続的に見込客を増やす方法
最後に4つ目の例として、継続的に見込客を増やすために「そのうち客」を集める方法について上げた。
BtoB企業にとって、オフラインで最も有効なのは展示会だ。SATORIの場合は、展示会を「そのうち客」を増やす場と位置づけ、興味喚起のために「MAツールについて伝えるマンガ」等をノベルティとして渡している。一方、オンラインではブログや外部サイトなどでコンテンツマーケティングを行い、「最新マーケティングハンドブック」や「国内BtoB企業における マーケティング活動実態調査レポート2019」といったトレンドやノウハウ情報などを提供し、勉強したいと考える「そのうち客」に、学びたいと感じる心を後押しするコンテンツを届けるようにした。
匿名の「そのうち客」を実名化する際に、SATORIマーケティングブログの「コンテンツマーケティングとは」「インサイドセールスとは」などの記事を読んでいる勉強熱心な匿名客に、「マーケティングの最新情報を伝えます」というポップアップを表示。メールマガジンへの登録やホワイトペーパーのダウンロードを促し成果を上げている。いまや「そのうち客」を獲得する上で同社にとって欠かせないコンテンツだ。
MAツールはあくまでも「アシスタント」
MAツールを導入すると「楽になる」と勘違いしている担当者は多いというが、豊川氏はそれは「オートメーション」という言葉が与える誤解だと考えている。ホットな見込客がWebサイトを訪問した際、マーケティング担当者がパソコンの前にかじりついて24時間対応するのは不可能だ。そこを代わりに対応してくれる「アシスタント」がMAツールである。
「マーケティングオートメーションは、担当者自身が目的をもって、戦略的に使いこなしてこそセールス活動に効いてきます。むしろ『マーケティングアシスタント』と呼んだほうが適切なくらいです」(豊川氏)
とはいえ、最初からMAツールを自在に使いこなすことは難しいだろう。「SATORI」では、カスタマーサクセスチームが「MAツールでできる20のコト」といった冊子を配布したり、利活用セミナーやオンラインサポート、ユーザー会といった手厚いサポートを用意している。MAツールは導入から3ヵ月が重要。そこでつまずいてしまわないよう、「伴走サポート」などの取り組みも始め、顧客の目的達成に寄り添い、貢献しようと意気込んでいる。