内側からあふれる声こそ、イノベーションの起点になる
コモディティ化しない強みをもった商品やサービスを実現するためには、企業が自社のスタンスや価値観を問い直し、「意味」を通じて生活者と関係を築いていく必要があります。
近代マーケティングの父と称されるフィリップ・コトラー博士も、近年「Brand Activism(ブランド・アクティビズム:企業やブランドが自分たちの価値観・スタンスなどを主張すること)」の重要性を説いています。
自社の強みを用いて社会課題を解決していくCSV(Creating Shared Value)や、SDGsに紐づく活動も、そうした潮流の1つと言えるでしょう。こうした活動は「社会貢献活動の一環」という従来の位置付けを超え、ブランドの根幹を成す要素として重要性を増しているのです。
本連載では、ここまで見てきた「意味のイノベーション」の視点を、ブランド構築やマーケティング、商品開発に活かしていくためのアプローチについて、以下のような点から解説していきます。
・生活者との関係性を問い直すための、リサーチ・データの活用法とは?
・意味解釈のコンテクストをデザインするためには?
・解釈の曖昧さに立ち向かう、マーケターのあり方とは?
またこうした疑問に対して、筆者が取り組んでいる「ワークショップ」をどのように活用できるのかについても、触れていきたいと考えています。以下の書籍も参考にしながら、理解を深めていただければと思います。
★意味のイノベーションをより深く理解するために(書籍紹介)
・『突破するデザイン あふれるビジョンから最高のヒットをつくる』ロベルト・ベルガンティ(著)
※様々な商品/サービスの事例を通じて、意味のイノベーションへの理解を深めることができる。
・『デザインの次に来るもの これからの商品は「意味」を考える』安西洋之/八重樫文(著)
※デザインとは何かという根本的な議論から、意味のイノベーションが日本に与え得る影響までを紹介している。