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“意味のイノベーション”で問い直す、生活者との関係性

これからのマーケターに求められるのは、生活者と企業の対話を導く“ファシリテーター”の役割

 「意味のイノベーション」の考え方を基に生活者との関係を問い直し、ヒット商品・強いブランドを構築していくヒントを探る本連載。第3回で掘り下げるのは、新しい価値観を生み出すための”探索”のアプローチと、生活者に寄り添い共感するだけではなく、批判的な姿勢をもつ重要性について。著者は「これからのマーケターに求められるのは、生活者と企業が対話し、共感しあう関係を築くファシリテーターとしての役割」であると説きます。

「両利きの経営」に学ぶ、探索の重要性

 前回までの記事では、生活者の多様化する価値観に呼応して、創り手側も価値観をアップデートしていく必要があること、そして価値観の形成に必要とされる“対話”やそこから生まれてくるチームの共通認識を表した言葉の重要性について見てきました。

 価値観のあり方を問い直す必要性を示してくれる概念に、「両利きの経営」というものがあります。経営学の考え方として知られていて、昨年ハーバード大学のマイケル・タッシュマン教授と、スタンフォード大学のチャールズ・オライリー教授が出版した書籍『両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』でも紹介され、注目を集めました。

 この書籍で説かれているのは、「知の深化」と「知の探索」という2つの方向性のアプローチを企業の中で両立させる重要性です。「深化」は既存の事業を推し進め、より深めていく活動、「探索」は新たな方向性を模索し、事業や創造の可能性を膨らませていく活動を指します。そして、既存の事業の成功体験に縛られ、新たな方向性を模索せず、深化の活動ばかりに力を入れてしまう「成功の罠」に陥ってしまうことを警告しています。

深化と探索を両立させる

 まさに前述の「価値観を問い直すこと」を怠った結果、市場に新たな価値観を提供する競合が現れ、後れを取ってしまうというケースも少なくないのではないでしょうか。

 両利きの経営は、既存の価値観をベースとしたような「深化」の活動を否定するものではなく、「深化」と「探索」の活動を両立させることが重要であると説いたものです。つまり既存の価値観そのものがいけないのではなく、それを問い直し新しい価値観を模索する活動が、企業の中で行われていない状態がまずいということです。

 一方で、全く何もないところから新たな価値観を生み出すことは、そう簡単にできるわけではありません。そうした中で探索の活動を取り入れて行く上で筆者が積極的に取り入れているアプローチの1つが、「批判的な対話」という取り組みです。

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この記事の著者

小田 裕和(オダ ヒロカズ)

株式会社ミミクリデザイン ディレクター/デザインリサーチャー。東京大学大学院 情報学環 特任研究員。千葉工業大学大学院工学研究科博士課程修了。 博士(工学)。千葉県出身。新たな価値を創り出すための、意味のイノベーションやデザイン思考といったデザインの方法論や、そのための教育と実践のあり方について研究...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32859

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