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SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

2019年、シェア拡散された国内施策をランキング化/ ラグビーワールドカップから学ぶ今後のトレンド

プレゼントキャンペーンもランキング化、見えたトレンドは?

 続いて、プレゼントキャンペーンに絞ったエンゲージメントランキングも紹介します。2018年に引き続き、上位陣はほとんどTwitterでのフォロー&RTキャンペーンです。その中でも、今年は一つの潮流がありました。

2019年国内プレゼントキャンペーンのエンゲージメント数ランキングTOP10※出典:株式会社スパイスボックス独自のソーシャルリスニングツール「THINK」集計(調査期間:2019/1/1~2019/11/15)注:スパイスボックスの独自ツール「THINK」を利用し、プレゼントキャンペーンに絞った施策のエンゲージメント数を集計してランキング化。今回は、国内におけるエンゲージメント数を調査対象にしたため、主に海外で情報が拡散されたと思われるコンテンツは著者の判断にて除外。
2019年国内プレゼントキャンペーンのエンゲージメント数ランキングTOP10
※出典:株式会社スパイスボックス独自のソーシャルリスニングツール「THINK」集計
(調査期間:2019/1/1~2019/11/15)
注:スパイスボックスの独自ツール「THINK」を利用し、プレゼントキャンペーンに絞った
施策のエンゲージメント数を集計してランキング化。
今回は、国内におけるエンゲージメント数を調査対象にしたため、
主に海外で情報が拡散されたと思われるコンテンツは著者の判断にて除外。

 圧倒的なエンゲージメント量で1位となったのはチロルチョコの超巨大クッションプレゼントキャンペーン。一見すると普通のオリジナルグッズプレゼントですが、なぜこれほどまでにエンゲージメントが高いのでしょうか?

 実はこのキャンペーンは毎日訴求し続け、フォロー&RTしてもらい続けるという仕組みにしています。開始直後からキャンペーン終了までカウントダウンをしながら日々訴求し続けることでエンゲージメントが積み上がり続けるのです。

 景品はチロルチョコの超巨大クッション1点勝負なのですが、毎日投稿するクリエイティブを変えながら、あの手この手で可愛く、嫌味っぽくなく煽り続けたのも成功要因でしょう。

 40日間のキャンペーン期間終了後、“幻の41日目”を作ったことで最後にもう1日盛り上がりを作ったのも非常に上手かったです。外れても、外れても、チャンスを提供し続けてくれる様がブランドにとってポジティブな印象を与えています。

 2位のPEPSI、5位のコカ・コーラ エナジーも同様に毎日インスタントウィン(その場で抽選結果がわかる)形式です。

 PEPSIは本田圭佑とじゃんけんやコイントスといった対決をするシリーズ。コカ・コーラ エナジーはシンプルなフォロー&RTキャンペーンをしつつ、オリジナルアプリであるCoke ONと連動した仕組みです。PEPSIは本田圭佑との対決方法を時期によって変えながら、キャンペーン期間中にコンテンツにも変化をつけています。

 こういった毎日インスタントウィン形式は、一人あたりのRT数が伸びることでエンゲージメントが伸びるという傾向もありつつ、毎日挑戦してもらい続けることでマインドシェアが高まることもプラス要素でしょう。じわじわマインドシェアが上がるため、リアルな場での友人との会話でも出現する可能性が高まります。そのため、Twitter上に現れる数値以上の間接的な成果も見込めるのです。

優良なフォロワーコミュニティがヒットを生み出す土台に

 Oisixの事例を除き、ランキング入りした事例のほぼすべてがTwitterを中心としたエンゲージメントで構成されています。広告・PRを組み立てる上で、重要視するプラットフォームとしてはTwitterがしばらく主流となりそうです。

 ヒットコンテンツが生まれる際の起点は、ほぼすべてがTwitterの公式アカウントによる投稿です。そして上位陣は、ヒットコンテンツに限らず通常運転時の平均エンゲージメント率も高い傾向にあります。前述の通り、エンゲージメントの強いフォロワーコミュニティを築いておけると、ヒットコンテンツを生み出す際に情報が流通されやすくなります。

 最後に2019年、私が最も理想的だと思ったラグビーワールドカップの事例を紐解きつつ、コミュニティ強化に際して押さえておくべきポイントを整理します。

コミュニティ強化に際して押さえておくべきポイント
(⇒以降はラグビーワールドカップの事例における解)

1)ターゲットは誰か?

⇒「にわか」ファンを「優良にわか」ファンに引き上げる。

2)何を伝えるか? 

⇒専門用語が飛び交う情報ではなく、選手たちを好きになる情報。(特に人間味溢れるもの)

3) どう伝えるか? 

⇒テレビで試合を見ながらスマホでTwitterを見て接触するため、即時性を重要視。

4) プラス、誰に伝えてもらうか?

⇒選手たち自身。(日本代表選手の多くがSNSで発信していた)

 専門的な情報発信では「にわか」ファンは付いていけません。ラグビーの事例では選手の人間らしさや身近さが「にわか」ファンにとっての「親近感」となりました。主な接触シーンはテレビで試合を見る際にスマホでTwitterを見ることが想定されるため、即時アップを徹底する。

 そして、熱量は必ず高いところから低いところへと伝わっていきます。その逆はありません。最も熱量の高い人たちにどれだけ積極的に発信を協力してもらうかが重要です。ラグビー日本代表選手たちのSNSでの発信が多かったことも今回の成功の要因だったと言えます。

 

 エンゲージメントの強いフォロワーコミュニティが多く築かれていくことで、流通するコンテンツはますます多様になっていくはずです。初期のリーチ量が少なくても、真に人が共感する存在の、共感する情報は、人から人へと確実に広がっていきます。SNS時代の情報流通構造は実に民主的です。来年はさらに多様なコンテンツが流通していくでしょう。

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/24 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32588

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