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なぜアリババは地方の中小店舗をフランチャイズ化するのか ニューリテールがマーケティングを変える理由

たったの1分36秒で1,500億円売り上げる「独身の日」

――まさに今おっしゃった「独身の日」が中国では非常に大きな商機になっています。一部の日本の消費財メーカーも積極的にプロモーション施策を講じているとも聞きます。中国の消費者は「独身の日」にどのような価値観を持ち、どのような行動をとっているのでしょうか。

サージェント:「独身の日」は中国の消費者にとって、一年で最も大きいショッピングフェスティバルです。日本でいうブラックフライデーやクリスマスセールのようなもので、みんなその日を楽しみに待ち望んでいますね。「独身の日」の売り上げは約383億ドル(4.2兆円)にまで拡大したといわれています。

 これはアリババだけの数字ですが、2012年にはじめて「独身の日」を実施した際には約14億ドル(約1,400億円)の売り上げがありまして、100億元(約1,500億円)を売るのに、13時間18分かかりました。……と聞くとなんてスピードだ思うかも知れませんが、昨年はなんと100億元(約1,500億円)をほんの1分36秒で売り上げてしまいました。

 最近は何週間か前からプリセールスをして盛り上げたり、12月12日にもショッピングフェスティバルを追加することでセール期間を長くする試みも行われています。正直な話、このイベントの“勝者”は、小売業でもメーカーでもなく、より安くより賢く欲しいものを手に入れられる消費者自身ではないでしょうか。

 中でも、中国の人たちにとっての海外ブランドとして最も人気なのが日本のブランドです。

――消費者の変化に対応するために、消費財メーカーはニューリテールが生み出すビッグデータをマーケティングにどのように活用しているのでしょうか。

 中国でもビッグデータの活用は積極的に行われていて、ニールセンの中国拠点で最も伸びている分野です。主に使われているのは、パーソナライゼーションの領域です。当然、AIも活用されています。

 アリババやテンセントといった小売企業は、当然のごとくビッグデータを用いて購買体験を向上させていますが、消費財メーカーもまたビッグデータを活用して購買体験の改善に取り組んでいます。消費財メーカーはアリババやテンセントなどと提携してデータ提供をしてもらっている企業もあれば、自社で消費者データを取得・分析し、改善を実行している企業もあり、戦略は各社様々です。

――ニールセンは、中国市場において消費財メーカーやニューリテールに対してどのような関わり方をしているのでしょうか。

 私たちの役割の一つは、ニューリテールから販売データを提供してもらい市場を分析することです。いつ・何が・どのぐらい売れているのかを見てトレンドを分析するといったことです。

 そしてそこで得た知見や分析結果を世の中に広く提供しています。たとえば、JD.com(京東商城/ジンドン)と取り組んでいるのが、当社の持つトレンドデータと、ジンドンが持つオンラインのカスタマーデータをもとに、何がどのように購入されているのかを分析し、消費財メーカーなどに提供することです。

 また、バイドゥとは、カスタマーセグメンテーションを共同開発する取り組みも行っています。消費者の居住エリアを分析し、どの地域で商売をすれば効果的か、優先順位はどうかといったエリア戦略を策定する際に消費財メーカーに活用してもらっています。中国は960万平方kmもの広大な国土を持つので、明確な優先順位をつけてエリア戦略を展開することが、マーケティングにおいてとても重要なのです。

 私たちはこれからも様々な企業にビッグデータを提供し、より効果的なマーケティング活動をサポートしていきたいと考えています。

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この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

江川 守彦(編集部)(エガワ モリヒコ)

東京大学文学部を卒業後、総合広告代理店でマスメディアの媒体営業業務を経験し、出版社に転じて人文系の書籍編集に従事したのち、MarkeZine編集部に参画。2018年よりオーガナイザーとしてMarkeZine Dayの企画にも携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32593

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