サブスク×D2Cが可能にする“顧客起点”
杉岡:私も、ファンの存在のありがたさを実感したことがあります。先日、商品開発のインタビューを行ったとき、あるお客様が赤ちゃんを連れてオフィスまでいらっしゃいました。それだけでもありがたいことなのに、私たちに「ミタスを作ってくれてありがとう」とお礼をおっしゃるんです。
ブランドやプロダクトにロイヤルティを感じているお客様と企業は、価値を共創することができるんだなと感じる出来事でした。
西井:「大好きなブランドの商品開発やサービス改善に関われて嬉しい」と感じてくださるお客様がいるのは、幸せなことですよね。そういった熱心な1人のお客様の後ろに、たくさんのお客様がいらっしゃるのだと思います。
ミタスはサブスクリプションで継続的な関係を作りながら、D2C(Direct to Consumer)を展開していることがポイントです。Direct to Consumerというスタイルは昔からありましたが、現在のD2Cは、企業主導ではなく、お客様起点であることが、大きな違いです。
感動を因数分解して、改善を進める
西井:今後は、どのような成長プランを考えていますか。
杉岡:現在は、商品やサービスを顧客や市場ニーズに合わせて改善していく、プロダクトマーケットフィットの段階です。ベビーフードというリアルな食べ物の改良に関しては、どんなにスピーディに対応したとしても半年以上はかかってしまいます。しかしミタスは、プロダクトとコミュニケーションによる両輪で体験をお届けしている分、後者の改善は早いサイクルで可能なのです。
お客様の感動を“プロダクトが与える感動”と、それ以外の“体験やコミュニケーションから生まれる感動”に因数分解し、ともに改善を進めていくことを目指しています。
西井:プロダクト改善はすぐにできなくとも、お客様の暮らしへのアプローチは積極的に変えていける。商品やサービスを売って終わりではなく、そのあとのコミュニケーションもセットにしているサブスクリプションだからこそできることですね。
杉岡:私の仮説ですが、人と気軽につながれるSNSが発達したのに、実は悩みが打ち明けられない、親しい友人や知人にこそ、自分の本音を言うのが難しい。このような時代に、現代のママやパパは生きていると思います。
だからこそ私は、“人生に直接関わることはないとしても、その人のことを徹底的に愛してくれる第三者”をサービスの中に作りたいんです。ミタスがそんな存在になれるよう、これからも頑張っていきます。
西井:困っている人たちに寄り添うことができるサブスクリプションには、大きな可能性がありますよね。食品業界やフードテックの領域から、そのような企業がもっと出てきてほしいと思います。本日は、ありがとうございました。