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「顧客にふさわしい場を追求する」 データと感性を行き来する一休の躍進

 「こころに贅沢させよう」とのコンセプトのもと、独自のポジションを築き上げ、今年2020年には20周年を迎える「一休.com」。大手プラットフォーマーもひしめく市場において、一時は停滞したものの、ロイヤル顧客にぐっと絞り込む戦略に舵を切り、この数年は2桁成長を続けている。その立役者が、2013年より同社に参画している榊淳社長だ。コンピューターサイエンスのバックグラウンドを持つ榊氏に一休の経営戦略を聞くと、データを重視する姿勢の一方で、言語化できない部分を大切にする意識も色濃く見えてきた。

※本記事は、2020年1月25日刊行の定期誌『MarkeZine』49号に掲載したものです。

「顧客のほうを向く」と腹を括ってV字回復へ

株式会社一休 代表取締役社長 榊淳(さかき・じゅん)氏
1972年、熊本県生まれ。慶応義塾大学大学院理工学研究科修了後、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。米スタンフォード大学大学院にてサイエンティフィック・コンピューティング修士課程修了。ボストンコンサルティンググループに入社し、約6年間コンサルタントとして活躍。2009年よりアリックスパートナーズ。2013年一休に入社。PL責任者として宿泊事業の再構築を担い、2014年に取締役副社長COOに就任。2016年2月に創業社長・森正文氏の退任にともない社長就任。

――御社は創業が1998年、「一休.com」のサービス開始は2000年ということで、今年がサービス開始20周年の節目なんですね。おめでとうございます。

 ありがとうございます。私が参画したのは2013年ですが、創業から2005年東証マザーズ上場、2007年に一部上場したあたりは30人ほどの社員で200億円くらいの取扱高があり、とても高効率の会社でした。

 ただ、上場で一休の高効率性が開示されるようになって、注目を集めてしまったため、他の大手予約サイトも一休が得意としていた高級市場にどんどん注力してきました。その結果、2007年頃から5年近く伸び悩んだんです。

 その後2012年頃から再び成長しはじめました。以降は順調に成長を継続しています。

――2012年から成長に転じて、2017年からさらに成長が加速されたのですね。どのような戦略を取ったのですか?

 タイミング的には2016年2月にヤフー傘下になり、一休単体の成長に加えて、ヤフーとのシナジー効果が加わって成長がさらに加速しました。

 正直、大手プラットフォーマーと一休とで売っている商品はほぼ変わりません。ホテル名と日付を入力すれば、どこもそう変わらない価格で宿泊の商品を表示します。

 商品に差がないなら、差がつくのはマーケティングです。どうしたのかというと、僕らの市場はそもそも宿泊施設と顧客のマッチングサービスなので、やはりどちらかを向く必要があるだろうと腹を括ったのです。

 それまでの僕らは、知らず知らず、どちらにもいい顔をしていたのかもしれない。でもそれって、どちらにも向いていないようなものですよね。そこで、明確に「“顧客に選ばれる”という競争に勝とう」と立ち位置を変えたのが、2012年のタイミングでした。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2020/01/24 13:00 https://markezine.jp/article/detail/32768

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