パルコが学生企画で1番だと思ったのは?
4チームが発表したところで、河本教授、大木氏、巣山氏に加え、パルコの林氏と発表に同席していたパルコの安藤彩子氏と高森敦史氏が4つの企画審議。最終的に優秀賞と最優秀賞を発表した。
まず優秀賞はA班。その理由に関して林氏は「おみくじクーポンを実施したら売上が上がるのではないかと思った。実際には開発工数がかかるけど、買い回りを促進するには一番効果的な施策ではないか」と評価した。
そして最優秀賞はC班。林氏は受賞理由を以下のように語っている。
「我々の課題である離反を防ぐことに対し、分析結果から名古屋PARCOならでは課題を発見していました。たとえば、パルコ全体に比べ名古屋PARCOはアプリの起動回数と購買日数の関係性が低いことなどがそうですね。そして、全体的にデータに基づいて論理的な施策立案ができていたのが素晴らしかったです」(林氏)
しかし、AとC班だけでなく、他の班からも学生ならではの示唆が得られたという。具体的には、駐車場の利用状況に関するデータが欲しいという学生の声があり「そういった視点はなかった」と林氏も驚いていた。また施策がおもしろいものも多く、「社内に持ち帰って、何かしら受賞しなかった班の施策含めて何かやりたい」と林氏は意気込んでいた。
また、同席していた高森氏と安藤氏も学生の提案を高く評価。安藤氏は「普段業務でやっていることを学生視点できちんとやっていて、すごいと思った。自信を持って就職活動をしてほしい」とエールを送った。
学生から得られた期待以上のアウトプット
最後に、編集部は報告会の終了後、パルコの林氏と河本教授に今回の取り組みについて感想を聞いた。林氏は「期待以上のアウトプットが得られた」と話す。
「買い回りを増やす、離反を防止するというのは我々にとって解決しなければいけない重要な課題です。そのために我々も日々データを見て、解決するアイデアも出し尽くしてるつもりで業務にあたっています。それでも、学生の皆さんの分析視点、施策の提案のすべてが我々には足りていない、導き出せていない答えになっていたので、今回お願いした意味は非常にあったと思っています」(林氏)
一方、河本教授も今回の取り組みを非常に良かったと評価する。
「私は2年前まで会社員だったのでわかるのですが、データサイエンスの教育で欠かせないのは実践です。しかし、実践にはビジネス課題や企業が持つデータがなければできません。実際のビジネス課題を見つけて、仮説を立てて提案をする。このプロセスを企業の方にアドバイスをいただきながら行うことが学びにつながると思いますし、今回の取り組みでは期待以上の成果が出ました」(河本氏)
河本氏は「今回は最初の挑戦なので、今後も産学連携共同教育を推進していきたい。それがデータサイエンス教育のあるべき姿」ともコメントしている。今回のような取り組みは、パルコのような事業会社にも、博報堂プロダクツやアルベルトのような支援企業にも、そして学生にもメリットをもたらす非常に有意義な取り組みであることがわかった。
今後も滋賀大学をはじめ、データサイエンスを志す学生と事業会社の産学連携共同教育プロジェクトの推進を見守っていきたい。