学生ならではの提案内容が続々登場
今回の4チームはA~D班に分けられており、AとD班が「より多くの体験(買い回り)を創りたい」、BとC班が「お客様の離反を防ぎたい」の課題テーマと向き合った。
最も買い回りしているユーザー層から施策を提案:D班
最初に発表したD班は、買い回りをするユーザーを分析前に定義。その上で全顧客を10等分してそこから有益な情報を得ようとする分析法である「デシル分析」を使い、買い回りユーザーを購入金額の大小で10段階に分類。その結果購入金額が一番多いデシル1が買い回りユーザーの売上の約40%、全体売上の約30%を占めていることを明らかにした。
そして、デシル1ユーザーの属性と買い物の順番を分析し、「25歳以上30歳未満の女性が多いこと」「レディスカテゴリの買い物で始まることが多く、どの段階でも半数が買い物を終了している」ことを発見。ここから、2店舗目に送客する施策を企画した。
その結果、D班が施策として提案したのは「夜の2店舗スタンプラリー」。データ分析で買い回りが夜に起きやすいことがわかっていたため、18時からレディス店舗で買い物した人を対象に、指定店舗で買い物するとクーポンがもらえる施策を提案した。
関心と経験をもたらす施策を分析結果から提案:A班
2番目に発表したA班は、「『関心』と『経験』」と題したプレゼンテーションを実施。D班と同様に買い回りの定義を決め、買い回りユーザーをあぶり出した。さらにA班では「入店からの購入が早い人ほど買い回りをしている」「アプリを使っている人ほど買い回りしているのではないか」などいくつかの仮説を立てた。
それを検証すべく、過去2回以上の購買がある人を対象に「買い回り経験が50%以上」などの4属性に分類。そこから事前に考えた仮説の裏付けを取るべく分析をした結果、「買い回りしている人はしていない人と比べてアプリを使っている」「買い回り経験のある人は買い物件数と経験店舗数が多い」ことを明らかにした。
そこから、アプリにもっと関心を持ってもらう施策として自分だけのアバターを「POCKET PARCO」で作ることができる「ポケパルアバター」や、買い物をした人に他カテゴリのお店で使えるクーポンを渡す「おみくじクーポン」を提案した。
休眠ユーザーと一般カスタマーの違いから離反防止策を提案:C班
3番目に発表したC班は離反防止をテーマにしたプレゼンテーションを行った。C班では、どのように顧客が休眠、離反までの流れをたどっているのかを確認し、顧客をロイヤルカスタマーから離反ユーザーまで5つのセグメントに分類した。分類にあたっては、購入日数・平均購入金額・GPSチェックイン日数をもとに独自の偏差値を算出する「PARCO活動スコア」を活用した。
そして、各セグメントの状態遷移を見ていくと、休眠予備軍から休眠に移っている人が57%移動している。そして、休眠予備軍は一般カスタマーになる可能性も23%秘めており、非常に不安定なステージであるという気付きを得た。
その上でC班は、休眠予備軍から一般カスタマーを比較し企画のタネを模索。一般カスタマーと休眠予備軍では購入日数が約2日、平均購買価格が約4,000円の差があることを把握。さらに休眠予備軍のうち、1年後に一般カスタマーになるユーザーはアプリのニュースフィードの反応回数が多く、名古屋PARCOに関してはアプリの起動回数と購買日数の関係性が低いことも明らかにした。
これらの分析結果をもとに、C班はBtoCとBtoE(Employee)の施策を提案した。BtoCは期間限定DMや自己分析診断施策、BtoEに関してはテナント同士でニュースフィードでのいいね数を競い、上位テナントにはインセンティブ付与など、顧客だけでなく従業員に対する施策を打ち出した。
経過日数と復帰率からお昼寝期間を導く:B班
最後に発表したのはB班。「お客様の離反を防ぎたい」の課題テーマに対し、B班は最初に経過日数と復帰率の相関を検証。経過日数が1年経っていない人をアクティブ、2年経っていない人を休眠、2年経った人を離反としたところ、休眠に入った人は20%しか戻ってこないことがわかった。
さらに、アクティブの範囲のユーザーを見ていくと、半年から1年の間にお昼寝という、顧客をアクティブに引き上げやすいチャンスがあることも明らかにした。
そこから、お昼寝層が再購買もしくは休眠するときの差を明らかにしていく。お昼寝に、「POCKET PARCO」のニュースフィードでいいねを押した約72%は復帰している。さらに、休眠した人のほとんどはアプリを起動しなくなること、復帰時の購入で多いのは衣料品・靴などをデータから導き出した。
そこで考えたのは「POCKET PARCO」のSNS化。パルコで買った商品のコーディネートや、パルコで買った便利グッズなどを投稿できるようにするというもの。これにより「アプリの利用率を引き上げ、休眠からの復帰率を向上させたい」と学生は語った。