マーケティングの果たすべき役割とは?
さて、スターバックスの事例におけるマーケティングの果たしている役割とはなんでしょうか?
冒頭にスターバックスというブランドは、コンセプトとして”Third Place”を掲げ、お店を訪れた人に「第3の場所」という価値を提供することを目的に店舗を構え、訪れたお客様にラテやコーヒーといった商品を買っていただくことで利益を得ている、と記載しました。
これを下の図に則り説明すると「コンセプトとして”Third Place”を掲げ」がSTRATEGYにあたり、「お店を訪れた人に『第3の場所』という価値を提供することを目的に店舗を構え」がProductからPhysical Evidence、いわゆるマーケティングミックス(7P)にあたります。これがスターバックスの行っているブランド活動です。

そして、多くのお客様が「第3の場所」としての価値を享受(体験価値)できると、スターバックスの目的は達成できたことになり、社会にスターバックスのブランドエクイティが形成されることになります。これがスターバックスの提供している社会価値です。
その結果「訪れたお客様にラテやコーヒーといった商品を買っていただくことで利益を得ている」状態が成り立ち、つまりスターバックスというブランドの経済価値も成り立つ、ということです。
マーケティングは価値ありきへ
このことは、マーケティングを販促として捉えていては、到底成り立ちません。そして、コトラーの「マーケティングとは価値を創造する交換過程をつくる活動である(Kotler and Keller, 2008)」、つまりマーケティングとは価値創造の一環であるという説明は、本当に優れた洞察から得られたものだと思えます。
だからあえて、マーケティングは売ることを目的にした活動と捉えるのではなく、価値創造活動として捉え、その始点は価値ありきであるべきだということを、声を大にして言っておきます。
マーケティングにおけるSTRATEGYとは価値を定めること、マーケティングミックス(7P)とは具体的に価値を提供する企業活動のすべて、結果として顧客に支持され創出された体験価値の社会における総和をブランドエクイティという。
これが僕のマーケティングに対する考えです。
一握りの優れた経営者によって創出されたブランドも、マーケティングの視点からそのブランドが成り立つ構造を理解することで、再現性あるものへと昇華することができる。今回は、カテゴリー・イノベーションを実現する仕組みについて説明しました。
次回は、価値ありきでマーケティング活動を捉えた場合より一層重要となる、企業としての価値提供活動であるマーケティングミックス(7P)について、デジタルの発展がもたらす大きな機会について述べていきます。
それでは。
