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MarkeZine Day 2025 Autumn

花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング

「手口ニュートラル」で欲求を生み出すコミュニケーションを【花王廣澤氏×博報堂ケトル太田氏対談】


インサイトを捉えた新たな企画に必要なのは?

太田:人間観察が大好きなので、注意深く人を見ています。その上で、ペルソナを作るようにしています。「自分の友だちだとあの人に近いかな」と、具体的に想像することが重要です。

廣澤:ちなみに、誰もやったことのないことをクライアントに提案し、実現するのも大変だと思うのですが、どのように説得しているのでしょうか。

太田:クリエイターの思い込みでは企業もお金を出せないと思うので、仮説に共感していただけるよう近しい事例を紹介したりしてお話しすることを心がけています。そして、余裕があれば、自分の仮説をクライアントさんと一緒に調査検証すればいいと思っています。

 その上で、一緒に戦略を信じられるクライアントさんと並走していくことを意識しています。

廣澤:クライアントと並走するのには時間もかかると思うのですが、どのように関係構築をしているのでしょうか。

太田:人にもよりますが、ペルソナを固めて提案していくと、共感してもらえる瞬間があるんです。一番お客様のことを知っているのはクライアントさんだと思いますが、それと同じくらい深くお客様のことを考えていることが伝わると良い関係が生まれますね。

廣澤:確かに、自分のブランドのお客様がどのくらいいるかはわかっているけど、その一人一人について考えきれていないということはあるかもしれません。そこを徹底的に思考するのは重要だと思います。

太田:需給のバランスを考えるならターゲットボリュームなどを数字で捉えたほうが効率もいいと思います。でもコミュニケーションで、認知を取るだけでなく売れる企画にするには、インサイトが重要で、特定の誰かにめちゃくちゃ深く刺さることを考えるのは博報堂ケトルのようなクリエイティブカンパニーの役目だと思っています。

仕事らしいことだけが仕事ではない

廣澤:最後に、若いクリエイターやプランナーに持っておいてほしいもの、考えてほしいことがあれば教えてください。

太田:私は作業を効率化しつつも、企画はいつもずっと考えていますね。私は子育てもあり、仕事ができる時間は限られていますが、感覚としては24時間センサーON状態だと思っています。たとえば、観る映画やドラマは誰かのおすすめのものにするなど、自分のフィルターバブル外のものを見たり、普段の通勤経路を変えて違う景色を強制的に見たりして、いつも企画のヒントはないかと様々なことをしています。

 その一方で、企画書の見栄えなどにこだわり過ぎなくなりました。時にはテキストだけで提案することもあります。

廣澤:仕事らしいことが仕事ではないのですね。私も企画を風呂場で考えてメモを残して寝たりすることもあるので、そういった時間も必要ってことですかね?

太田:そういう日常の中にハッとするヒントがあることもありますね。そして楽しい仕事は待っていても来ないので、自分で仕事を楽しくする工夫をするしかないと思うんですが。

廣澤:仕事を楽しいと思えるようにするには手を動かすしかないと思うのですが、太田さんはどうやって仕事を楽しくしていますか。

太田:元々ゲーマーなのもあって、難題に直面しても「攻略するにはどうしたらいいか」を楽しんで考えるようにしていますね。あとは各プロジェクトの中で自分がその仕事を通じて叶えたい小さな夢を入れこんだりしますね。「この仕事で絶対海外に行く」とか「自分の好きなアイドルの企画を実現する」とか。

 もちろん、叶わないことの方が多いのですが、自分が仕事を楽しむためには「自分のやりたいことが何か」を理解し、それを叶えるための工夫が大事なのではないでしょうか。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/03/31 13:22 https://markezine.jp/article/detail/32911

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