※本記事は、2020年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』50号に掲載したものです。
「とくし丸」から読み解く日本市場らしいイズム
米国でも見当たらない、日本ならではの「三方良し」のビジネスモデルを見つけて感動した。買い物難民を支援する移動スーパー「とくし丸」をご存じだろうか。徳島県発で、過疎地の「買い物弱者」が周辺に存在する「中小スーパー」と商品供給の契約を行い、その商品を移動販売車を持つ「個人事業主」に任せる独自の手法により、契約地域を全国に拡大してきた。2012年にトラック2台で創業し、2016年にはオイシックス・ラ・大地が買収。現在では「コンビニより便利な」チェーン事業として、2020年3月末には全国で500台を突破する見込みで資金を再投資している。
この「とくし丸」事業のビジネスモデルは、本連載を通して度々伝えてきた「MAD MAN(筆者)流の目線」(図表1)がすべて含まれている。日本市場らしい世の中に価値を提供するイズムであり、だからこそ「万能な方程式」として世界でも通じると思える。その気づきを解説・共有したい。