企業のSNS運用に求められる“聞く”姿勢
金清:そうなんですね。私はスパルタ英会話のInstagramコンテンツの中でも、その場でテーマを決めて即興で授業を行う「無料LIVE英会話レッスン」が特に好きなのですが、あの授業の講師は実際の英会話レッスンの講師と同じなのですか? いつもアドリブで授業を行っているのですか?
平田:週ごとに英会話のテーマは決めて事前にフォロワーに配信をしていますが、具体的なシチュエーションや、リスニングを中心にするか? などの内容はアドリブで決めています。実は英会話講師に自分でもYouTubeチャンネルを運用している方がいて、その講師が積極的にLIVE英会話のアイデアを出してくれたりしています。
金清:なるほど! 視聴者とのアクティブな対話がLIVE英会話を盛り上げているんですね。私は、スパルタ英会話のSNS運用への姿勢は、このご時世だからこそ重要なのでは? 考えています。現在の新型コロナウイルス騒動を受けて、SNSの運用について心がけていること、新しく取り組もうとしていることなどがありましたら、お伺いできますか?
平田:とにかく聞く、ということを大切にしています。実は、コロナウイルス騒動以降、留学を予定していた学生の方の問い合わせが増えているんです。いつ心配なく渡航できるかがわからないなかで、国内で英語を学ぶニーズが増えています。こういったニーズも、Instagramを入り口にしてより密なコミュニケーションができるSlackコミュニティで知ることができます。聞くこと、対話することができる場をSNS上に作ることが、この状況で如何に自分たちのサービスを効果的に提供するかを考えることにつながると思っています。
顧客接点が減る中、SNSアカウントは「企業の窓」にもなる
新型コロナウイルスの騒動を受けて、企業の課題のひとつが「顧客接点の減少」であることは間違いないでしょう。不要不急の外出自粛の号令により、顧客の実店舗への訪問機会が減少しただけでなく、リモートワークの推奨などによりBtoC、BtoBの両面でオフラインの接点が減少しています。このような状況の中で人々のコミュニケーションへの“飢え”は今後より深刻なストレスへと発展する懸念が予想されます。
このような事態だからこそ、これまではサービスを一方的に顧客に発信するだけであった企業が、生活者の声を直接聞く「コール&レスポンス型のコミュニケーション」を取り入れることの意義は大きいと思います。普段では実現し得ない企業側からの“人らしい”コミュニケーションが、人々のなかで話題になり、つかの間の癒やしを提供することにつながる可能性があるからです。
そして、このコミュニケーションを実現する場として、SNSはこれまで以上に重要になっていくと考えられます。
企業によるSNS利用の本来の魅力のひとつが、この「リアルタイムに顧客とブランドをつなぐ“窓”を得ることができる」ということです。そしてこの事態は、これまでなかなかSNSを顧客接点として有効活用できていなかった企業にとっての重要なターニングポイントになるのではないでしょうか。