イベントの注目度を知る
まず、イベントAの注目度はどの程度だったでしょうか。イベントAのチケット情報ページにアクセスした人を、現地観戦について興味がある人(興味層)、ID登録・ログインのページにアクセスした人を、現地観戦の意思がある人(意向層)とそれぞれ定義し、インテージのi-SSPを用い分析していきます。
インターネット利用者(インテージのマルチデバイス利用調査調べ)約7,557万人に対し、「興味層」は約383万人(5%)、「意向層」は約241万人(「興味層」のうち63%)でした。
ここで、2019年に日本で開催されました大型のスポーツイベントB(以下、イベントB)について同様に見てみますと、こちらはインターネット利用者約7,588万人に対し、「興味層」は約16.7万人(0.22%)、「意向層」は約7.8万人(興味層のうち47%)となりました。国内開催の大型のスポーツイベント同士で比較しても、「興味層」の人数ベースで約23倍、「意向層」の人数ベースでは約31倍と、今年開催予定だったイベントAにおける現地観戦の注目度の高さ・意向の高さがわかります。一方で、「興味層」のまま「意向層」に移行しない人も約4割存在していました(図表1)。
全体像を捉える
それでは、イベントA現地観戦「興味層」の約383万人はどのような人たちで構成されていたでしょうか。特徴を明らかにするために、インターネット利用者全体および、同じスポーツイベントが4年前の2016年に開催された際(イベントCと表記)にテレビ観戦していた「テレビ観戦層」と比べてみます(図表2)。
まず居住エリア別に見ますと、インターネット利用者全体と比較して「京浜」が21.3pt高く、やはり会場の多いゆえか京浜の人の占める割合が高くなっています。
続いて性年代構成比についてです。「興味層」は、インターネット利用者全体や「テレビ観戦層」と比べて若年層の割合が低く、年齢層が高めに振れていることがわかります。
またインターネット利用者全体や「テレビ観戦層」と比べて、家族構成では「夫婦のみ」の割合が高く、世帯年収別では、世帯年収の高い層が占める割合が高くなっています。
同じスポーツイベントでも「テレビ観戦層」はインターネット利用者全体と比べて顕著な特徴は見られないのに対し、イベントAの現地観戦「興味層」は年齢層や世帯年収が高めで「夫婦のみ」世帯比率が高いなど、金銭的にゆとりを持ちやすい人が多くの割合を占めています。そのため、イベントAの現地観戦を考えるにあたっては、おそらく経済面の影響が大きかったと推測できます。
