内製化しやすく、顔出しも必要なし
――2つ目、3つ目のメリットについても教えていただけますか。
川﨑:2つ目は内製化しやすいことです。実写の場合、広告会社や動画制作会社など関わる人数も増えてプロジェクトもコストも大きくなりがちですが、アニメの場合は、キャスティングやロケハン、台本制作や登場してもらう社員へのレクチャーも必要ないため、コストを抑えて手軽に動画を制作することができます。
リモートワークや在宅勤務が当たり前となるこれからの時代、動画はマーケティングに欠かせないツールの一つになるでしょう。そうすると、最小限の手間とコストで動画を量産する必要が出てくると思います。実際に、動画の制作を自社で内製化して、発信するスピード感を高めたいとおっしゃる方も増えてきました。そこで自宅などで気軽に制作できる「VYOND」のようなクラウド型のツールが重宝されています。
先に挙げた埼玉県女性キャリアセンターさんのケースでも、アニメとお手持ちの写真を組み合わせるだけで簡単に動画を制作できる点を魅力に感じていただき、導入に至りました。追加の写真撮影も、担当者にスマートフォンで撮影してもらうだけで完了できました。
――動画制作のハードルが下がるのは、ありがたいことですね。
川﨑:はい。そして3つ目は、顔出しを行わずに動画での情報発信が完結することです。実写のコンテンツは抵抗があるという方もいらっしゃいますし、出演者の退社やプライバシーの問題など、制作後に調整が必要になるケースも少なくありません。しかしアニメであればそういったリスクを避けられますし、アバターの作り方次第で、顔出しせずとも経営者や担当者の個性を伝えることも可能です。
膨大な資料をアニメ化し、商談で活用
――BtoB企業で「VYOND」を活用する事例も増えているのでしょうか。
川﨑:はい。SAP JAPANさんの例はわかりやすいと思います。中堅・中小企業の経営者向けにERPや人事システムの導入方法をストーリー仕立てのアニメーションで伝え、高い評価をいただきました。
川﨑:ほかには、膨大なパワーポイントの資料でハードウェア製品の説明をしていた大手電機メーカーがコンパクトなアニメを制作して、各営業パーソンのタブレット端末にインストールすることで、営業効率を上げた例もあります。コストや導入プロセス、メンテナンスなど顧客からよく聞かれるポイントに絞ってアニメを制作した点が奏功したようです。この大手電機メーカーでは、動画アニメの制作は完全に内製化しています。
どれも2~3分の短い動画が中心なので、観る側の負担が軽い点も好評です。さらにBtoBの商材では、導入を検討している担当者が上司の決裁を取る際に、動画を見せながら説明し、製品の有益性を理解してもらうといった使い方もされていると聞いています。