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カスタマーマーケティング、その本質と実践

マーケティングを「カスタマーサクセス仕様」にアップデートする


カスタマーマーケティングの特徴と二つのアプローチ

 さて、ここからは実際にカスタマーサクセスを中心としたマーケティングを実践するためのアプローチ方法についてお話ししましょう。

 これまで見てきた通り、カスタマーマーケティングには以下の特徴があります。

1.カスタマーのサクセスに寄与することが目的
2.一対一ではない、スケールする手法である
3.サクセスした顧客やファン(アドボケイト)を中心に、潜在顧客に波及する仕組みがある
4.顧客のインサイトをフィードバックするサイクルがある

 カスタマーマーケティングという山は一つですが、登るためのルートは大きく二つあります。

 カスタマーサクセスサイドから登るか、マーケティングサイドから登るか。これはアプローチ方法の問題ですが、同時に組織の問題でもあり、人の問題でもあります。

カスタマーサクセスからのアプローチ

 カスタマーサクセスルートは、ハイタッチではスケールできないサクセスを、マーケティング的手法で広めていくというアプローチです。テックタッチと呼ばれる手法を、よりマーケティングに近い形で発展させていくことで実現できると考えます。

 メリットは、カスタマーサクセスに精通しているため、顧客に寄り添ったコンテンツ・施策を実現しやすいという点。デメリットは、仕組み化やマーケティング手法での展開を新たに始めるためのハードルがあるという点、また潜在顧客に対して波及させる点でのチャレンジがあるという点です。

マーケティングからのアプローチ

 マーケティングルートは、これまで新規顧客獲得を目的として潜在顧客をターゲットに施策を打っていたところを、対象を既存顧客にまで広げ、顧客のペルソナを解像度高く想定し、潜在顧客・既存顧客の両方に対してマーケティング施策を打っていくというアプローチです。

 メリットは、従来のマーケティングのリソースやオペレーションをそのまま引き継げるので、スタートしやすいと言う点。デメリットは、カスタマーサクセスほど顧客のサクセスに精通していないため、特に既存顧客に響くコンテンツ・施策を提供するために顧客理解を深めるか、カスタマーサクセス部門の協力を仰ぐ必要があると言う点です。

 どちらも目指すのは、カスタマーサクセス。つまり、ダイレクトに買ってもらうことを目的とするのではなく、顧客に寄り添い、顧客が自社のプロダクトを使って成功できるようともに伴走すること。

 どちらが良いかは、現在の自社の中でどちらがゴールに近いところにいるか次第だと思います。まだベストプラクティスがない世界ゆえ、正解はありません。

 ということで、次回からは、「カスタマーサクセスから見たカスタマーマーケティング」についてはSansanの山田ひさのりさんに、「マーケティングから見たカスタマーマーケティング」についてはSmartHRの岡本剛典さんに、それぞれの立場からご紹介していただくことにしましょう。

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この記事の著者

長橋 明子(ナガハシ アキコ)

オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社
シニア・マネージャー カスタマーマーケティング

早稲田大学卒業後、NTTコミュニケーションズにて技術開発、経営企画、プロダクトマーケティング等に携わる。2016年よりワークスモバイルジャパンにてビジネスチャット「LINE WORKS」のマーケティングおよびカスタマー・エクスペリエンス&アドボカシーを経て、2019年7月に米系RPAベンダー オートメーション・エニウェアに参画。カスタマーマーケテ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/05/28 10:48 https://markezine.jp/article/detail/33401

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