タイトルを問わず、LINE広告のLTVがトップクラスの理由
MZ:LINE広告の成果指標や運用方法について教えてください。
西山:良質な新規ユーザーの獲得、離脱ユーザーの復帰を目的としています。LINEは他メディアと比べてもMAUが多いことから、弊社のゲームアプリの離脱ユーザーの数も比例して多く、結果として復帰者数が多い傾向にあります。離脱者に向けた配信では、広告を表示時にターゲットユーザーがそのメディアをほとんど閲覧していないケースもあります。その点でも、LINEはアクティブ率が高いため、ターゲットユーザーに届く確率が高いというメリットを感じています。
MZ:他のSNS広告との使い分けについてはいかがでしょうか。
西山:メディアによって、広告閲覧時のユーザー行動、年齢層や興味関心が異なるため、どの程度ゲームをプレイしているか、どれくらいのLTVかなど細かな分析を行った上で出稿量を決めています。
中でも、LINE広告は圧倒的なユーザー数に加え、類似配信の精度がかなり高いという実感を持っているので、件数を重視したい時、LTVを重視したい時、どちらのケースでも出稿する主要メニューになっています。
出稿量はタイトルによって変動します。具体的にはLINE広告のCPM(Cost Per Mille:1,000インプレッション当たりの広告単価)が少し高いため、LTVと照らし合わせて許容できる範囲か検討しながら、タイトルによって出稿量を調整しています。
坊:タイトルを問わず、基本的にLINE広告経由のユーザーは他メディアと比べてLTVが高いと思います。LTVは継続率や課金率、ARPPU(Average Revenue Per Paid User:課金者一人当たりの平均利用金額)などの指標で見ていますが、LINE広告はどの指標においても良い数字を残しています。やはり、幅広い年代や属性を持つユーザーに、効果的なアプローチができていると実感しています。
西山:LINE広告のLTVは全タイトルで基本的にトップクラスです。より踏み込んでいえば、LINE広告はかなり高めの許容金額が設定できているメディアです。
MZ:なぜLINE広告経由のユーザーのLTVが高いのか。その理由や分析についてはいかがでしょうか。
西山:そもそもLINE自体、日本人のほとんどが使用しているアプリで、他のSNSではリーチできない層にもアプローチできるメリットがあります。たとえば、TwitterやTikTokなどは若年層を数多く抱えていますが、LINEはユーザー数も多く年齢層が広いため、高いLTVのユーザーを狙うことができます。また、類似配信の精度の高さも要因の一つと考えています。ターゲットの類似ユーザーに、精度高く広告が配信できる。これも大きいです。
細やかなPDCAを回し類似配信をチューニング
MZ:類似配信については、具体的にどのような運用を行っていますか。
西山:インストール、アクセス数、課金経験など様々なシード(類似配信に活用する基となるデータ)を使っています。たとえば、高頻度アクセスユーザーのシードで類似度を5%に拡大して配信した時、インストールしたユーザーがゲーム上でどのような行動を取っているのかをチェックします。次に7%まで拡大した際、5%の時とどんな差分が発生するのか確認しながらPDCAを回しています。
西山:これを繰り返すことで、類似度と成果の関係性が見えてきます。同じような運用を各タイトルで行っています。一方で、LINE広告には自動最適化機能があるため、その学習効果を高める目的で、最も効果が高いグループに配信を集中させて学習データを蓄積する戦略も取っています。
MZ:他メディアでも同じシードを使うことはありますか?成果面での違いについても教えてください。
西山:同じシードで試すことはあります。成果面で断言するのは難しいですが、LINE広告は類似配信でも十分な配信ボリュームを確保できると感じています。他メディアに比べてリーチできる範囲が広く、ターゲットユーザーの“枯れ”が起きにくいのだと考えています。