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コロナ禍で新たな事業に踏み出した、老舗酒造メーカー明利酒類×I&CO Tokyoのブランド戦略


既存プロダクトと異なるイメージを明確化

――先ほど、橋本さんは事業展開から議論に加わられていたというお話がありましたが、具体的にはどのような内容なのですか?

橋本:たとえば、まずスピーディーに市場投入できそうな高濃度アルコールのウォッカ商品をリリースし、「MEIRIの除菌」をリリースするといった展開の順序は、I&COの他のメンバーも交えてお話させていただいたことです。

 また、そもそも「明利酒類」という漢字で親しまれてきたブランドを「MEIRI」と表記することについても、議論を重ねました。

山中:これについては社内で賛成意見ばかりではなかったのですが、まったく新しい領域で皆さまの課題解決の役に立とうという意志を強く打ち出したかったので、最終的には「酒類とは異なるブランドが必要だ」という理解を得られました。逆に、一般消費者の役に立てればと、急ぎで発売したウォッカを使った2種類の商品については、一般消費財メーカーの除菌剤が市場に出始めるまでの“継投”の役割を意識しています。今後は、当社の除菌アルコールは、業務用の「MEIRIの除菌」ブランドで展開していく考えです。

――橋本さんは、デザイナーとして今回どのような感想をお持ちですか?

橋本:今回、既存の事業とまったく異なる領域で、社会課題の解決と事業性を両立する試みに携われたことは、幸運でした。デザイナーは通常、商品開発の最後の工程に入ることが多いですが、世の中にどう受け止められるべきかという部分から考えることができて、大きな学びになりましたね。デザインが社会に対して果たせる役割がもっとあるはずだと、強く思うようになりました。

ブランディングが社内の意思統一の役割も果たす

――山中さんは、今回、新規事業のブランディングに橋本さんをはじめI&COの方々と取り組まれて、

どのような手ごたえを感じていますか?

山中:自分たちの思いが、たとえばロゴデザインや「MEIRI」という英字の形で提示されたことで、我々が新しい方向に進むのだという社内の意思統一ができたことは発見でしたね。デザインは、顧客に情報を伝えたりするだけでなく、事業の方向性を指し示してドライブすることもできるのだと知りました。

 当社のような地域の中小企業が、グローバルで様々なブランディング案件を手掛けるI&COさんのような会社と組むのはあまり例がないことでしょう。また、もの作りにこだわる老舗企業ほど、デザインやブランディングに目が向かないという部分もあるのではと感じますが、自社の意志と方向性を社内外に示すためには、ブランディングの概念は欠かせないのだと実感しました。変革が必要だと思われている地域の中小企業さんは、デザインやブランディングを意識することで、第一歩を踏み出せるかもしれないと思います。

――ありがとうございます。最後に今後のブランドの展望についてお教えいただけますか?

山中:今後、消毒や除菌に使える高濃度アルコールは社会で必要不可欠な存在、つまりインフラのような存在になっていくのではないかと思います。同じように地域貢献を目指すパートナー企業との連携を進め、研究開発と販路の整備を進めます。酒類と酒類関連の食品に続く、当社の第3の柱として、「MEIRIの除菌」ブランドが地域の皆さまに貢献していけるように育てていきたいと思います。これからが本番ですね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/15 11:07 https://markezine.jp/article/detail/33611

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