Disruptionに必要な3つのステップ
では、このようなニューノーマルなサービスを生み出す上で、Disruptionはどのように機能するのでしょうか。Disruptionのステップを事例とともにご紹介します。
Disruptionは、「1、Convention(コンベンション)=既存の市場やプレーヤーを見渡し”破壊すべき既成概念”を発見する」「2、Vision(ビジョン)=既成概念を破壊した先の“あるべき理想の姿”を明確化する」「3、Disruption=既成概念を破壊し“ビジョンを実現するアイデア”を開発する」という大きく3つのステップから成り立ちます。

どういうことか。先の「Oisixおうちレストラン」を例に見てみましょう。
まずはConvention(破壊すべき既成概念)について。このサービスの背景にある市場の固定観念は「プロの料理とは希少なもの」という点にあります。高いスキルとセンスを持つが故に希少な存在となっている料理人が作るからこそ、その料理は希少になる、という考えです。その結果、有名レストランの料理はお値段も高くなります。そしてそんな有名店はお店に行って初めてその価値がわかるものであり、行くまでは口コミなどからその価値を予想することしかできないというのもまた、前提にあるでしょう。
では、そんなConventionを打破し、実現するべきサービスのVision(あるべき理想の姿)とはどのようなものでしょうか。それは、より多くの人がプロの味を楽しむことができる、いわば「プロの料理を民主化」した世界だと言えるでしょう。いつでも、どこでも、お手頃な値段でプロの料理を楽しむことができる世界。もちろん、このサービスで料理するのはプロの料理人ではないため、本場の味と厳密には異なるはずですが、これまで門外不出だったレシピやコツによってよりお店の味に近いものを疑似体験できるお客さんが増えるでしょう。
そして、そんなVisionを実現する破壊的なアイデア「Disruption」こそ、Oisixが提供した「プロの“知識”を味わう」というもの。必要な食材に加えてプロのアドバイスもセットで届けることで、これまでは料理教室といった場でしか得られなかったプロの知識を簡単に得られるようにした点が、このサービスの破壊的アイデアです。
市場競争から市場“創造”へ
こうしたサービスのDisruptionが実現するのは、市場を「競争する場所」から「創造する対象」へと捉え直すことです。既存の顧客を奪い合うのではなく、新しい価値観を提示することでこれまでになかった新しい市場の創造を目指します。
これにより、競争相手がいない環境を作ることで戦わないサービスやブランドのあり方を実現してきたのがDisruptionなのですが、この発想は「従来の常識が通用しなくなりつつある」今の市場において、それに代わる新しい考え方を提示し市場を創るうえでも有効であると私たちは考えます。
そして、こうして生まれた新たな市場は、他のプレーヤーが追従するというのもまたDisruptionの特徴です。新しい市場を切り拓き、他のプレーヤーを先導することで市場を創造する存在を私たちはDisruptor(ディスラプター)と呼びます。

では、先ほどご紹介したDisruptor「Oisixおうちレストラン」が創造したのは、どんな市場でしょうか。ここでは、3つの視点で考えることができます。